臨時国会は、首班指名をめぐる攻防戦が影響し、当初の予定より招集が遅れている。石破茂首相の退陣表明を受けた自民党総裁選から2週間以上過ぎた21日に、召集されることが決まった。
自民は、公明党が連立から離脱したことを受け、日本維新の会との連立政権樹立に向けて政策協議を始めた。一方で、衆議院の保守系少数会派にも声をかけており、麻生太郎副総裁が、無所属議員7人でつくる「有志・改革の会」と接触し、高市氏への投票を要請した。同会派としての結論はまだ出ていない。
また高市氏は16日、参政党の神谷宗幣代表と会談し、首相指名選挙での投票を要請した。神谷氏は高市氏の掲げる政策を評価しつつ、「参政は独立独歩で行く。国益が最優先」と述べたという。参政は、自民が安倍政権以降、外国人労働者の受け入れなど世界的なグローバリズムに乗った政策を推進してきたことに対し、「日本人ファースト」を掲げて躍進した経緯がある。自民の方向性を見極めないうちは、高市氏に投じるかは微妙な情勢とみられる。
自民党会派の衆議院議席は、196議席で、維新の35、有志・改革の会の7が加わった場合、238議席となり、過半数の233議席を超えることとなる。
自民党の多数派工作が活発化するなか、参議院の自民党会派「自民党・無所属の会」に15日、政治団体『NHKから国民を守る党』(NHK党)の斉藤健一郎参議院議員が入会した。NHK党は、参院選において旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の支援を受けた経緯がある。
斉藤氏の自民党会派入りに対しては、旧統一教会の元信者などから批判や懸念の声が上がっている。統一教会の被害者救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の紀藤正樹弁護士は、自身のXで「自民党と国会で唯一“統一教会”を援護し続けてきたNHK党の連携(与党入り)にも驚きました。斎藤健一郎議員は2023年3月ガーシーの除名にともない参議院議員に繰上当選。唯一のN党の議員です。N党は泡沫野党ではなくなるのですから統一教会との関係につき説明責任があると思います」
と投稿した。
これに対してNHK党の立花孝志党首が、Xで反応し「紀藤先生ポストありがとうございます 私共NHKから国民を守る党は、説明責任を果たすことをとても大切に考えております。毎週金曜日18時より、どなたでも参加できる国民会見を開催しておりますので、ぜひご参加ください」
と返答したが、NHK党以上に関係が深かったのは自民党である。
旧統一教会は、解散命令に反発し、「自民党に裏切られた」と批判する信者や関連団体幹部も多い。一方で、高市氏の総裁選勝利の祝意を教団支部教会のアカウントで投稿する(その後削除)など、リベラルな岸田・石破両政権と違い、スパイ防止法推進などに積極的な高市氏による政権を歓迎する声が出ている。
自民党は2022年の安倍元首相の事件後、教団および関連団体との関係断絶を宣言し、北九州市議会など地方議会においても自民党主導で関係断絶決議を可決している。しかし一方で、水面下では関係を維持している政治家もいるといわれ、高市政権が成立した場合、閣僚や党幹部をはじめとした政治家と教団の接点が再びクローズアップされる可能性がある。
【近藤将勝】