これまでの記事で、全管協(全国賃貸管理ビジネス協会)の会員企業やその代表者が、自民党の党員勧誘活動に際して、本来党員となる個人が支払うべき党費を負担している実態があること、そしてこの行為が政治資金規正法上の寄付行為にあたる可能性があることを指摘してきた。
維新王国で苦慮する党員獲得
前回記事では、九州の一部支部が解散していたことを紹介した。自民党職域党員の獲得ノルマや組織運営の在り方を疑問視する声によるものだ。これは一地域や県だけの話ではない。
全国47都道府県でそれぞれ実情に多少の差はあるものの、全管協の会員企業やその代表者が、本来党員となる個人が支払うべき党費を負担したり、支払ったはずの党費に対する領収書を受領していないケースがある。
先日、関西地方のある全管協加盟企業の代表者Aの話を聞いた。それによると、党員獲得目標が人口割で算出されており、関西支部においては党員ノルマの数が多く、大きな負担を強いられていたという。
関西で最も人口が多いのは大阪府であるが、大阪は地域政党・大阪維新の会(以下維新)の勢力が強い。府議会・市議会は維新が与党会派であり、大阪府下の19の衆議院選挙区のうち、19区の谷川とむ氏(自民党)以外は、全員維新所属という圧倒的な「維新王国」だ。
このような状況下における党員獲得の内実について、Aは次のように語る。
「橋下さんが市長・知事時代から維新が強い大阪で、知り合いの方々に言っても、『うーん、自民党か』というレベルで、ほぼ相手にされないのです。 そんななかで自民党の党員をそろえることは現実的に難しかった。そのなかで私ども(A)は1,000人の党員を獲得しました。内実は当社の社員、社員の家族、その身内の方々の名前をとりあえず並べてほしい、並べてくださいねとお願いしました」
党員の名義貸しが横行
しかし、当然のことながら、自民党を支持しない社員や家族、親族はいる。
Aは次のように語った。
「理不尽というか、納得いかないっていうところもあるかもわかりませんけど、社員の皆さんには迷惑はかからないので、とりあえず名前は使いますね、それにプラスして、できたら身内の方、結婚されている方であれば奥さんの名前とか、親戚の人の名前とかも並べてもいいよっていう方がいたら、すぐ言ってくださいねとお願いしました」「プラス役員とか店長には半強制的に出してもらいました。親戚のおばちゃんとか名前並べるだけだから、とりあえず出してくれと。迷惑はかけませんからと頼んでいきました」
自民党の理念に賛同しているわけでもない人にまで、名義貸しを依頼している実態があったということだ。もちろん、これだけでは到底、本部からの増員ノルマはクリアできない。取引先の企業の代表者などにもお願いしていくことになるが、関係性にひびが入ることもあったのは想像に難くない。
このような無理な党員活動を背景として、2020年度からは自民党費の原資に、全管協の政治団体「自民党ちんたい支部連合会」から関西支部に支出された活動費が流用されている。
前述のように、維新の強い大阪で自民党員を拡大するというのは至難の業である。党員ノルマ獲得に強い指示を与えたことはあったのかという問いに対して、Aは「支部長も性格的にそんなに強くいうタイプではなかった。できたら協力してほしいとのお願いでした」と述べた。そのうえで、「関西支部としては、本体(全管協名誉会長・高橋誠一氏)からのプレッシャーはありましたけども、支部役員の方々に対するプレッシャーを与えたっていうことは、それはなかったです」と語ったが、本部からの要求に四苦八苦する姿が浮かんできた。
(つづく)
【近藤将勝】








