2024年04月26日( 金 )

1日で約1.9億円!西南学院の豪華すぎる100周年記念行事(5)

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予算は「みんなの手作り」プロセスを無視?

事後報告で実行委員会に出された予算の資料(赤下線はNetIB編集部) 事後報告で実行委員会に出された予算の資料
(赤下線はNetIB編集部)

 今年(2016年)5月14日(土)に開催される西南学院の創立100周年の記念行事(以下、『記念行事』)。最大で約1.9億円という予算に、同窓会関係者から疑問の声があがっていることを伝えてきたが、そもそもなぜ、そのような疑念が生じているのか、という点に触れなければならない。「数千人規模で同窓生が一同に会する式典は、100周年にふさわしい内容にすべき。費用は、次の100年の教育につなげるための投資」というご意見も学院側から寄せられているが、根本の問題は『記念行事』の予算がどのようにして決められたかというプロセスにあった。

 今回、NetIBは、西南学院の創立100周年記念募金事業やこの『記念行事』の企画・実施の意思決定プロセスの1つである「西南学院・同窓会連合会協議会実行委員会」(以下、実行委員会)のメンバーの協力を得て、『記念行事』の関連資料を精査した。

 おさらいだが、「(『記念行事』の)案は学院側が作成し、同窓生も参加する準備部会に提出。検討したものを実行委員会、さらにその上の協議会に諮(はか)って決めています」(西南学院100周年事業推進室担当者)となっている。ここでいう「実行委員会」とは、前出の「西南学院・同窓会連合会協議会実行委員会」であり、「協議会」とは「西南学院・同窓会連合会協議会」のこと。「広告代理店任せにするのではなく、学院と同窓生のみんなの手作りでやろう」といった今回の『記念行事』のコンセプトもNetIBの取材に対し、学院側から説明がなされた。

 ところが、『記念行事』の予算の決定に関しては、学院側の説明と同様のプロセスではなかった。

 画像は、「創立100周年記念式典・講演会、記念祝賀会に係る予算概算について(試算)」として、『記念行事』の予算概算が総計約1億8,790万円と示されたA4サイズ1枚の紙。右上には、「2015(平成27)年4月7日」の日付で、「第19回西南学院・同窓会連合会協議会実行委員会 資料」と記されている。そして、その下に、「2015(平成27)2月26日」の日付で、「第9回創立100周年記念式典準備部会 資料」とある。準備部会と同じものが実行委員会で使われたということだ。しかし、第19回の実行委員会の記録を調べると、この資料が配られたのは、すでに学院の常任理事会で承認された後、つまり事後報告だったということがわかる。

第19回実行委員会の記録より(黒塗り・赤下線はNetIB編集部) 第19回実行委員会の記録より
(黒塗り・赤下線はNetIB編集部)

 第19回の実行委員会の記録では、予算について、「月に一度行われる準備部会でも相当な圧縮をしなければなかなか難しいということで、委員の中でも議論を尽くし、式典を同窓生の皆様方と手作りでやろうという思いで、委員の方々も無駄なものを追加しようということではなく、必要な予算を圧縮し、必要最小限のものをという中で2月26日の準備部会で協議をいただいて出てきた金額である」との説明がある。その一方で、「いち早く予算枠を確保する必要があるため、急ぎ常任理事会に諮(はか)った。その後、実行委員会にて報告させて頂いているのが現状である」とある。

 次年度の予算を年度内に決める必要があることはわかる。ならば、実行委員会と協議会をその都合に合わせて開催すれば済む。なぜ、肝心の予算の部分を、「学院と同窓生のみんなの手作り」というプロセスの例外にしてしまったのか。既報の通り、『記念行事』の費用については学院が負担することになっているとはいえ、「準備部会で議論を尽くした」と強調する予算を、上位の意思決定機関である実行委員会と協議会をすっ飛ばしていいものなのか。当然のことのように感じるが、事後報告となった約1.9億円の予算について、第19回の実行委員会のなかで数々の質問がなされた。

(つづく)
【山下 康太】

 
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