2024年04月17日( 水 )

時代をひらく女性たち~(株)ダナエー 内田登代紀氏(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 政府が成長戦略の1つに掲げる『女性の活躍促進』。しかし、今もなお女性の社会進出に立ちはだかる問題が山積みになっているのは周知の事実だ。それでも、多くの試練を乗り越え、社会に貢献する女性は大勢いる。信念を持ち、働く女性の姿は輝いている。女性経営者シリーズ「時代をひらく女性たち」では、分野を問わずさまざまな業界で活躍している女性にスポットを当てる。

 第5回目は、布ナプキン「うふふわ。」の製造・販売を行う(株)ダナエーの代表取締役社長内田登代紀氏。2008年に起業し、女性に優しい布ナプキンの製造販売を行いながら、幅広く女性を応援する活動を行っている。2014年には、女性が「自分の性を考える」きっかけになればと女性の性、人生についてつづった『LOVEカルテ』を出版。現在では、小学校に「性」に関する正しい知識を広めるための講演活動も行っており、さまざまな分野で活躍している。
 生理、出産、子育てには女性にしか分からない悩みが数多くある。内田氏はその全てを経験した一人として「女性が自分の身体を受け入れ、楽しめる」手助けをしたいと語る。
 女性ならではの製品を販売し、性と向き合うことの大切さを唱える内田社長に話を聞いた。


自身の経験がきっかけに

 ――布ナプキン「うふふわ。」の開発・販売だけではなく、女性や「性」に関するさまざまな取り組みをされていますが、そのような事業を始めたきっかけを教えてください。

(株)ダナエー 代表取締役社長 内田 登代紀 氏

 内田 実は、若いころは家具職人を目指していたんです。結婚にも子供にも興味がなくって、職人芸といいますか、とにかく何かを極めるには女としての役割は邪魔だと思っていました。女性の皆さんならわかると思うのですが、生理中って物理的な痛みもあるし、情緒不安定になるし、何かを集中してやり遂げるには向いていないんですね。だから、本当に生理が憂鬱で仕方ありませんでした。「女じゃなければこんな面倒くさい思いをしなくてすんだのにな」と思うことも少なからずありました。
 結局は、家具職人の道を諦め、結婚し、出産を経験したのですが、意識が変わったのとはその時です。やはり自分で経験したことで、結婚や出産に対する認識ががらりと変わりました。一つの命を育てるというのは大変だけど、とても大切な仕事。わずらわしい生理も子供を産むための大事な準備期間なんだなって。
 ……でも、いくら頭でそう思っていても、やっぱり嫌なものは嫌なんですよ(笑)。出産後、生理が再開して、蒸れたり不快になるのが嫌で助産師さんに相談したら「布ナプキン」の存在を教えてもらいました。それが、布ナプキンとの出会いです。

 ――自ら製造・販売を行なおうと思ったきっかけはなんですか?

 内田 最初は個別で友人に勧めていました。皆気に入ってくれたのですが、当時は販売店もあまりなく、ネットでしか布ナプキンを買うことが出来なかったんですね。やはり肌に触れるものですから、直接触って選びたいじゃないですか。それに、布ナプキンって家で手作りできるので、これをママたちのお仕事にしたらみんな幸せなんじゃないかなと思ったのがきっかけで、2008年に起業したんです。オーガニックのお店や、自然食品店に置いてもらったりして細々と活動していました。

 ――それが、今では全国展開する薬局や雑貨店にも取り扱いされていますね。

 内田 4年目に大賀薬局さんと契約し、全国で取り扱っていただけるようになったことが大きな転機となりました。東急ハンズさんにも採り入れてもらっています。福岡でいえば、「うふふわ。」を置いてくださっているお店は70店舗ほどあります。なかでも、インキューブ西鉄さんはさまざまな種類の布ナプキンを取り揃え布ナプキンコーナーを設置していて、そこに弊社の商品も陳列されています。ひとつひとつが手作りなので大量生産は出来ませんが、受注をうけ、丁寧につくっています。

 ――ひとつひとつ手作りなんですか?

 内田 ええ、そうです。現在、職人は9名いますが、みんな子育て中のママです。柄印刷・裁断・縫製・ホック付け・パッケージ……すべての工程に関して検品をおこたらず、全員が職人としてプライドを持ち製作しています。生理の辛さが分かるからこそ、ひとつひとつに気持ちを込めて作れるのではないかと思います。原料にもこだわっていて、肌に触れる面(表)には、今治の生地をつかっています。KuSuがベビー用に開発した、オーガニックコットン+シルクロールのガーゼ&パイルです。この布はバイオ精錬加工法といって化学薬品は一切使用しない、作る人・使う人のお肌にも環境にもやさしい製法でつくられています。 他社さんの布ナプキンと比べても、薄くてアウターに影響しにくく、横モレしにくくなっています。

(つづく)


<COMPANY INFORMATION>
代 表:内田 登代紀
所在地:福岡県宗像市東郷6-9-1
設 立:2008年
問い合わせ:0940-36-8283
URL:http://nunonapukin-seiri.com/

<プロフィール>
内田 登代紀(うちだ とよき)
1977年生まれ、福岡県出身。2008年に「幸せのタネたんぽぽ」として創業し、布ナプキン『うふふわ。』の製造販売を行う。14年には女性の性と向き合った本『LOVEカルテ』を発刊。15年4月に(株)Danae (ダナエー)として法人化した。小学生やその母親に向けて、新しい性教育講演活動も行っている。

 

(後)

関連キーワード

関連記事