2024年04月26日( 金 )

理不尽、不条理、苦しみに溢れるこの世を生きてゆくために

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は友愛の政治を実現することで社会が変わり、人々の暮らしが変わると訴えた5月31日付の記事を紹介する。

生老病死、そして、
愛別離苦(あいべつりく)
怨憎会苦(おんぞうえく)
求不得苦(ぐふとくく)
五蘊盛苦(ごうんじょうく)
これを仏教で四苦八苦という。

生老病死

 生きること、老いること、病気になること、死ぬことが四苦。愛する者と別離すること、怨み憎んでいる者に会うこと、求める物が得られないこと、肉体と精神が思うがままにならないことを合わせて八苦という。

 毎日さまざまなことが起こる。外から見れば幸福に見えても、人はさまざまな苦しみに直面する。何の罪もないのに、理不尽で不条理な苦しみに直面することもある。こうした苦しみがどこから生まれてくるのか。根源にあるのは、私たちがすべからく、感情を持つ生きものであり、同時に、私たちが社会的な存在であることだ。人は感情を持ち、人は社会との関わりのなかで生きる。このことによって喜びや楽しみも得られるが、怒りや悲しみ、苦しみも生まれるのである。

 生きものは必ず死を迎える。このことを避けることはできない。古来、死を免れる方法が探求されてきたが、これに成功した者はいない。生きものは死を免れることができないのである。

 その死は恐怖である。病に対する恐怖は死に対する恐怖の同一線上に生じるものだ。これらの苦しみから逃れる方法はあるのか。仏教の基本経典である般若心経に苦しみを取り除く法が記述されている。

照見五蘊皆空 度一切苦厄
能除一切苦
色即是空 空即是色

 この世の真理を知ることによって一切の苦厄を取り除くことができる。現実は空(くう)であるが、空がまた現実でもある。連日のように痛ましいことがらが伝えられる。しかし、そのような出来事を伝えることに何の意味があるのか。さまざまな出来事をビジネスの素材としてしか取り扱わない人々の存在が浮かび上がる。

 人はいつか死を迎える存在であること、人は感情を持つ生きものであること、人は社会との関わりのなかで生きる存在であること、このことから、多くの苦しみが生まれている。

 苦しみ、悲しみ、怒りを取り除き、喜び、楽しみに溢れる社会を創り出すことこそ、私たちが求める方向である。苦しみを和らげ、悲しみを和らげ、怒りを和らげる力を持つもの。それは愛である。

 他者に対する無償の愛がすべてを和らげる原動力になる。「友愛の原点は愛である、愛の原点は利他である」の言葉を私たちは心に刻まなければならない。日々の出来事を追い回しても得るものは何もない。私たちに必要なことは、「学び」と「考察」だ。

 さまざまな痛ましい出来事が起きる。日々の暮らしのなかで遭遇するさまざまな出来事。歯車がずれ始めると、悪循環は拡大する。悪循環を断ち切り、苦しみを取り除く道はただ1つ。友愛の気持ちを注ぐことだけだ。

※続きは5月31日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「怒り苦しみ悲しみを取り除くための友愛政治」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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