2024年04月27日( 土 )

街全体に最先端のテクノロジー 竹芝地区でスマートシティ共創へ(前)

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2社がまちづくりで合意

東急不動産と ソフトバンクが両社の強みを活かし、竹芝でスマートシティ

 東急不動産(株)とソフトバンク(株)の両社は、共同で東京都港区竹芝地区のまちづくりに取り組むことに合意した。スマートシティの共創を目指し、データ活用やスマートビル構築に取り組むほか、ロボティクスやモビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G(第5世代移動通信システム)、ドローンなどの幅広い領域でテクノロジーの検証を行う。また、最先端のテクノロジーを検証したい企業や団体の募集も行う予定で、さまざまな事業者が竹芝地区にテクノロジーをもち寄り、地区の発展や課題解決を実現するスマートシティのモデルケースの構築に取り組む。

 7月18・19日に都内で開催された「SoftBank World2019」では、「デジタライゼーションがもたらす変革~共創が描く新たなスマートシティ~」と題して、ソフトバンク・今井康之副社長、東日本旅客鉄道(株)(以下、JR東日本)・太田朝道常務、東急不動産・岡田正志副社長が講演。東急不動産とソフトバンクが竹芝地区でまちづくりを行うことを合意した後の初のイベントとなったこともあり、注目を集めた。

 東急不動産が進める再開発計画「(仮称)竹芝地区開発計画」は、都市再生ステップアップ・プロジェクトの1つであり、業務棟と住宅棟から成る総延床面積約20万m2の国際ビジネス拠点の創出に向けて取り組んでいる。竹芝地区のスマートシティ化により、どのような成果が生まれるのか。

 ソフトバンクの今井氏によれば、デジタライゼーション(デジタル化)によって生まれる成果物はさまざまあるといい、「インフラの点検、オフィスのIoT、MaaS、ビル管理、防災管理などが実現可能ですが、成果物を1つひとつつくっていては労力がかかるため、ソフトバンクがプラットフォームをマルチでつくりあげ、提供します」(今井氏)と続けた。

JR東日本の役割――

 JR東日本は18年7月、グループ経営ビジョン「変革2027」を策定し、鉄道起点から、「人」起点のサービスに転換する方針を明らかにしていた。人起点のサービスについて、JR東日本の太田氏は次のように説明した。

 「人の生活を豊かにし、新しい価値を創造することにJR東日本の機軸を移しました。輸送サービスも単に移動するだけではなく、自治体や地域の人々と連携し、すばらしいものを発掘し、新たな観光を創造していく。駅も単に乗降する場所だけではなく、さまざまな交流や、街とつながる場としたい。電車も移動だけではなく、乗って楽しい、あるいは乗ること自体が目的になる列車を提供していきたい。さらにシームレスでストレスフリーな移動を実現できるMaaSのプラットフォームをつくりあげていきたい」。

 JR東日本は、事業体と連携して観光型MaaSを開始。国内外の観光客が鉄道、バス、AI オンデマンド乗合交通、レンタサイクルなどの交通機関を、スマートフォンで検索・予約・決済し、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合型サービスの実証実験を4月から伊豆エリアで行っている。さらに、新潟や仙台でも観光型MaaSを展開するという。

 竹芝の再開発計画では、東急不動産のまちづくりの知見と、ソフトバンクのテクノロジーを掛け合わせ、両社の強みを生かしたスマートシティの構築を進める。ソフトバンクは、「パートナー企業との共創」「働き方改革」「最先端テクノロジーの実験」を目的に、20年度後半に本社を再開発によって生まれるオフィスビルへ移転し、東急不動産とともにビル内外の人流データや環境データを収集・解析することで、快適な環境整備と効率的なビル管理が可能になるスマートビルを構築する予定だ。

スマートシティイメージ

(つづく)
【長井 雄一朗】

「(仮称)竹芝地区開発計画」の概要

事業主体:(株)アルベログランデ
(「(仮称)竹芝地区開発計画」を整備するため東急不動産と鹿島建設が設立した事業会社)
所在地:東京都港区海岸1-20-9ほか
敷地面積:約1万5,590m2
延床面積:約20万1,159m2
開業:2020年(予定)

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