2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

『脊振の自然に魅せられて』「残雪の道標補修作業と素晴らしきブナ林」(前)

雪が残る小爪峠で作業をするM
雪が残る小爪峠で作業をするM

 2月21日(金)、「脊振の自然を愛する会」の会員Mを誘い、脊振山系:金山周辺の道標整備に出かけた。Mは私より年上で、かつてF大学の教授をしていた。

 Mは山の店の開店35周年記念イベントの一環で私の講演に来場し、そこで知り合って以来の付き合いである。

 この日の作業は小爪峠〜金山~坊主ケ滝登山口という長丁場で、所用時間は6時間の予定である。

 坊主ケ滝近くの千石の郷の駐車場で午前8時30分に待ち合わせ、車を近くの坊主が滝登山口へ移動。1台をここに停め「デポ」(荷物置き場)にする。

 福岡から佐賀へ通じる国道263号線の三瀬峠を越え、有料の三瀬トンネルの合流地点の手前200mから左折し金山脊振林道に入る。

 佐賀県にあるこの林道は、脊振山系と並行して造られた広域林道で、バス同士がすれ違えるほど道幅が広く、立派な林道である。さらに奥へと進んでいくと、脊振神社前を経由して脊振山頂に着く。

 2日前に降った雪が早朝の林道に残っていた。私の愛車「スバル VX」は4輪駆動で、冬はスキー場通いをするため、スノータイヤを装備している。

 愛車は林道に残っている雪をかき分け快適に進んだ。林道を5km近く走ると三瀬峠村の井手野キャンプ場から脊振の縦走路へと続く登山道がある。

 ここから林道を交差して小爪峠と通じている。10年前、この登山口に道標をたてた。この林道登山口から小爪峠へは約20分で登れる、一方、福岡側から登るとゆうに2時間はかかる。

 福岡からは遠回りになるが、最近は特別なことがない限り、三瀬峠を越えて、この林道を利用し、小爪峠へ登ることが多い。高齢者にとって非常に楽なルートである。

 2年前、この登山口から小爪峠まで、小型道標を8本取り付けた。昨年末から登山者が遠くから見てもわかるよう、脊振山系に2年がかりで取り付けた小型道標80本の両側に黄色のペンキを塗る作業を続けている。取り付けた自分たちさえ見落とすことがあったからだ。

あわせてレスキューポイント表示の準備として、ガーミン(アメリカ製のGPS測定器)で緯度、経度、高度の測定と、携帯電話を使い、電波状況の確認作業も同時に行っている。

2日前に降った雪が登山道に残っている。まだらな残雪ではあるが、雪のなかの登山は独特の雰囲気がある。「自然に感謝」である。

 40分ほどの作業を終えると、枯れ薄が生い茂る広々とした小爪峠に着いた。そこにワンゲルの学生たちと10年前にたてた道標が佇んでいた。

 道標の薄れた文字を白ペンキで上塗りする。古くなった道標だが、まだまだ元気である。たてた当時を思い出しつつ、同時に学生たちと5年前に大規模なゴミ処理を行った記憶も蘇ってきた。

 文字の補修を終え、記録写真を撮る。あわせてガーミンで緯度、経度、標高を測定。携帯電話の受信状態を示すアンテナが3本立ち、通信可能かどうかも確認する。

透明感に溢れた、静かで、雲1つない青空がすばらしい。まだ冬とはいえ絶好の作業日和だ。

 少しエネルギー補給をして金山方面の縦走路を進む。ここから登りが15分は続く、久しぶりの山歩きに足が慣れず、太ももが上がらない。喘ぎながらピークへ向けて歩を進める。

 ようやく西山との分岐にたてた道標に着き、ほっとする。ザックをおろし、道標磨きとペイント補修を始める。道標磨き用にと2Lのペットボトル1本に途中の水場で水を汲んで、ザックのなかに入れていたが、水は足元の残雪で十分だった。

 タワシに雪をつけ、苔で汚れた道標を磨く。同時進行でMが文字のペイント補修を行う。道標の支柱がわずかに揺れていた。

 「揺れる。磨くのが邪魔にならない?」とMに言葉をかけると「大丈夫」という返事が返ってきた。Mが丁寧に文字にペンキを塗ると、林のなかにたつ分岐の道標が生き返った。

(つづく)
2020年2月27日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(後)

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