共感人口を増やし、住み続けたい宗像に――(後)
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宗像市長 伊豆 美沙子 氏
持続可能な宗像市へ
――地方自治体にとって定住人口の増加は重要課題の1つだと思いますが、子育て世帯などの若い住民を呼び込む政策などはいかがですか。
伊豆市長 宗像市は、これからも良好な住宅都市としてあり続けなければならないと思っています。多くの人に住みたい、住み続けたいと思ってもらえるまちづくりはもちろんですが、なかでも子育て世帯などの若い人たちに住んでいただくための定住化施策は、本市の最重要施策の1つです。
市としてもこれまで、子育てセンター「ふらこっこ」や20カ所の子育てサロンなどの子育て支援の拠点を設けるほか、小中一貫教育に先駆的に取り組むなど、子育て環境や教育環境の充実にはとくに力を入れ、教育文化都市としてのブランドを高めてきました。併せて、地域との協力の下での安心・安全のまちづくりには引き続き注力し、子育て世帯に選ばれるまちを目指してまちづくりを進めていきます。
――新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くなか、テレワーク推進の流れが社会的に進んでくると、宗像市のような住環境の良い郊外型の住宅都市が注目を浴びてくるのではないでしょうか。
伊豆市長 いわゆる3密を避けるという流れのなかで、これまでの大都市への一極集中から今後は地方への分散が進んでいき、そのなかで新しい働き方の形態が生まれてくる可能性は考えています。たとえば、これまでは職住近接が注目されていましたが、今後はテレワークの普及によって「通勤しなくていい」「住んでいるところで仕事ができる」という“職住同一”への流れも出てくるのではないでしょうか。そうした場合に、やはり重要視されるのは住環境の良さだと思います。
市としても「住みたい、住み続けたい」まちづくりには一層注力していかねばなりません。また近年は、ワークとバケーションを合わせた「ワーケーション」という働き方も出てきていますので、ワーケーションで自然豊かな宗像・大島への来島を促すPRなども行いながら、テレワーク推進の流れのなかで、宗像市の住宅需要が増えてくれることを期待しているところです。
――最後に、宗像市が目指していく将来像について、市長のお考えをお聞かせください。
伊豆市長 現在の宗像市の教育文化都市としての礎は、私が尊敬する郷土の偉人である出光興産・創業者の出光佐三氏によって築かれたものです。教育・子育てをとくに重視している宗像では、“人材”ではなく“人財”という言葉を使っています。まちの財産である子どもたちには、出光佐三氏のように混迷の時代を生き抜く想像力をもった人になってもらいたいですね。将来を見据え、自身で起業する、そんな自立心と想像力をもった「第2の出光佐三」を生み出したいと思います。
また、出光佐三氏は宗像大社の再建や沖ノ島の学術研究に尽力しました。彼がいなければ、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に選ばれることはなかったでしょう。彼の想いを受け継ぎながら、かけがえのない貴重な歴史・文化遺産や海の環境を守り、後世に引き継いでいくことは、世界遺産シティである本市の使命です。
現在、「save the sea(セイブ・ザ・シー)」という合言葉での宗像の海の環境を守り続けるという活動に、一般市民や地域の内外の企業・団体など多くの方々が共感して参加していただいています。こうした宗像市のさまざまな取り組みに共感していただける人々のことを私は「共感人口」と呼んでいますが、共感人口の拡大に努め、活動の輪をより大きなものにしていきたいと思っています。
そして、将来にわたって「宗像に住みたい、住み続けたい」と多くの人々に思ってもらえるような宗像市を目指していきます。
(了)
【坂田 憲治】
<PROFILE>
伊豆 美沙子 (いず・みさこ)
宗像市出身。宗像高校および京都女子大学国文学科を卒業後、会社員を経て家業の酒造業に従事。そのほか、ラジオパーソナリティーや福岡大学非常勤講師など、幅広い活動を行う。2011年4月から福岡県議会議員を2期務めた後、18年5月に宗像市長に就任。福岡県内初の女性市長として注目された。関連記事
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