2024年04月26日( 金 )

ベルヴィ香椎、施工不具合問題は JR九州・若築建設ら業者の勝利!(1)

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 福岡東区の分譲マンション「ベルヴィ香椎 六番館」(以下、六番館)が傾斜している問題について、販売会社である若築建設(株)・JR九州・福岡商事(株)の3社は、六番館区分所有者に対して3つの対応策を提示し、選択を求めた。
 販売会社らが示した案は、下記の通り。
(1)改修(杭の補修)
(2)六番館の解体・建替え
(3)六番館各住戸の購入価格での買い取り
 現時点では、「六番館の解体・建替え」を希望する区分所有者が多いという。六番館の「建替え」は「ベルヴィ香椎」の区分所有者にとって、最良の解決方法となるのだろうか。協同組合ASIO代表理事の仲盛昭二氏の意見を聞いた。

 ――マンションが傾斜していると問題になっていた六番館について、「改修(杭の補修)」「建替え」「買い取り」の3つの案が販売会社から提示されました。六番館の区分所有者の間では「建替え」を希望する意見が多いとのことですが、「建替え」は区分所有者にとってもっとも良い解決策と考えていいでしょうか。

 仲盛 販売会社が提示した3つの案のうち、「杭の補修」については、支持地盤に到達していない杭の周囲の土をセメント混和剤で固め、計算外として、杭の周面摩擦力に期待する方法のようです。現在、杭には建物の大きな軸力が作用し続けています。補修後も耐力のない不安定な杭に大きな軸力が作用し続ける状態、すなわち建築基準法違反である耐力不足が続くことになるため、強度は回復しません。この方法では、マンションの資産価値は下がったままになってしまいます。

 ――「六番館の建替え」は六番館の区分所有者にとって、もっとも良い解決のように見えますが、どうですか。

 仲盛 「建替え」を希望してきた六番館の区分所有者にとって、一見すると「建替え」が実現されるのは望ましいと感じられるかもしれません。しかし「ベルヴィ香椎」における問題は六番館だけではありません。他の棟においても、構造スリットの未施工が判明していますが、販売会社は、今回の対応策のなかで、六番館以外の構造スリットの問題についてはまったく触れておらず、「六番館以外の棟は置き去りにされた」状態とも言えます。この解決策は、六番館のことしか考えていない佐々木特別理事と岩山建築士が主導したものであり、六番館以外の棟の区分所有者が納得できる説明をすべきだと考えています。

 ――六番館だけの「建替え」であれば、六番館の区分所有者だけで決議をすれば良いのではないでしょうか。

 仲盛 「ベルヴィ香椎」は複数の棟で構成される「団地型マンション」であり、各棟の管理組合を束ねているマンション全体の管理組合があります。団地型マンションのうちの1棟を建替える時は、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」第62条による建替えの特別決議(区分所有者・議決権の5分の4以上による決議)に加えて、同法第69条により、団地全体の区分所有者の4分の3以上による承認決議が必要です。

(つづく)

【桑野 健介】

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