2022年01月22日( 土 )
by データ・マックス

豊富な地域資源の活用で再興を図る大牟田市の未来は――(2)

石炭とともに発展し日本の近代化を支える

大牟田の発展に貢献した團琢磨氏の像

 大牟田市と石炭との関係は、室町期の1469(文明元)年に、三池郡稲荷村の伝治左衛門という農民が山中で“燃える石”(石炭)を発見したことから始まると伝えられている。本格的な採炭が始まったのは1721(享保6)年で、柳河藩家老の小野春信が平野鷹取山を開坑し、石炭の採掘を開始。1790(寛政2)年には三池藩が領内での採炭および販売に関する規則である「石山法度」を制定した。1853(嘉永6)年には三池藩が生山坑を開坑したほか、57(安政4)年には大浦坑を開坑。当時は、掘られた石炭は瀬戸内海などに運ばれ、主に製塩のための燃料として使用されていたとされる。

 明治期に入ると、1873(明治6)年に日本坑法が公布され、工部省三池鉱山支庁を大牟田村に設置。三池炭鉱は明治政府の官営事業となった。当時は76年に設立された三井物産会社が、官営三池炭鉱の輸送および販売を一手に手がけており、77年には石炭搬出のために大牟田川河口の航路拡大に着手したほか、翌78年には大浦坑と大牟田港とを結ぶ馬車鉄道が敷設され、石炭の輸送体制が次第に整えられた。

 その後、83年には七浦坑が、88年には宮浦坑が操業を開始する一方で、同88年には政府からの払い下げにおける競争入札で三菱と争った結果、三井組が落札。翌89年に政府から三井組へ三池炭鉱の経営権一切が引き渡され、アメリカで鉱山学を学んだ團琢磨氏が最高責任者となった。また、同年4月に町村制が施行され、大牟田村、下里村、稲荷村、横須村の4村が合併して大牟田町が誕生した。

 91年4月には九州鉄道の久留米~玉名間(現在のJR鹿児島本線)の開通にともない、「大牟田駅」が開業した。一方で同年、三池横須浜と七浦坑との区間を結ぶ蒸気機関車による運炭鉄道が開通。その後も團氏の下で、炭鉱経営の近代化および合理化が進められていった。1908年には、團氏の発案で築港された「三池港」が開港。干満差の大きい有明海でも大型船が常時接岸・荷役作業できるよう、日本では珍しいパナマ運河と同様の閘門式のドックを備えた港で、石炭輸送の効率化に大きく貢献した。

世界遺産となった現役の重要港湾「三池港」

 1917(大正6)年3月、市制施行によって大牟田町が大牟田市となった。27(昭和2)年12月には市内を通る路面電車「大牟田電気軌道」(後の西鉄大牟田市内線)の旭町~四ツ山間が開通。29年4月には三池郡三川町が大牟田市に編入された。37年10月には本町に市内初となる百貨店「大牟田松屋」(松屋デパート)が開業。同百貨店は市民が出入りできる建物としては大牟田で初めてエレベーターを備え、RC造の塔屋を含めて8階建ての建物は長らく大牟田のシンボルの1つとして市民に愛されてきた。

西鉄とJRが乗り入れる「大牟田駅」

 38年10月には、九州鉄道大牟田線(現・西鉄天神大牟田線)の栄町駅(現・新栄町駅)が開業し、翌39年7月にはさらに南進して大牟田駅が開業したことで、福岡~大牟田間が全通。現在に至るまで、福岡市から大牟田市までを南北に縦断する大動脈の鉄道路線の1つとなっている。41年4月に三池郡三池町、駛馬町、玉川村、銀水村が大牟田市に編入。以降は新たな市町村合併などは行われておらず、この時点で現在の大牟田市の基礎ができあがったことになる。

 その後、第二次世界大戦(太平洋戦争)に突入すると、大牟田市は石炭や石炭製品、化学肥料、爆薬などを生産する重要な化学工業地帯や、国内最大級の石炭港を有していたことから攻撃目標になった。終戦までに5度の空襲を受け、市街地や工業地帯などが焼け野原と化し、工場機能も停止。約1万2,000戸の家屋が罹災し、約1,300人の市民が命を落としたとされている。

1926年11月時点の大牟田市および近郊の区域図

(つづく)

【坂田 憲治】

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