2024年03月29日( 金 )

【天神ビッグバン2020】さらなる容積率緩和や期間延長も コロナ禍で新設オフィス需要に暗雲(2)

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ジャパネットが入居予定「天神ビジネスセンター」

 天神ビッグバンの第1号プロジェクトに位置付けられている「(仮称)天神ビジネスセンター」(以下、天神BC)の工事が着々と進んでいる。

「(仮称)天神ビジネスセンター」
「(仮称)天神ビジネスセンター」

 福岡地所(株)が進めている同プロジェクトは、もともとあった「天神セントラルプレイス」(旧・福岡三和ビル、RC造地上9階・地下2階建、1960年12月竣工)の建替え計画として進められ、隣接していた4棟のビル(西日本ビル、福神ビル、福岡日興ビル、因幡ビル)とともに建て替えて一体開発するもの。3,917.18m2の敷地に地上19階・塔屋2階・地下2階の高さ約89m、延床面積6万1,116.98m2の大型オフィスビルを建設する計画で、天神BBBで容積率が最大1,400%まで緩和され、同ビルにおいては1,398.99%を活用している。基本設計を(株)日本設計が、実施設計および施工を前田建設工業(株)が担当。19年1月に着工し、20年11月に鉄骨の上棟式を迎え、竣工予定は21年9月となっている。

 同ビルのコンセプトは、「ワークライフバランス。クリエイティブなグローバルトップ企業を、世界で最も住みやすい都市『福岡』に呼び込むためのプロジェクト」とされており、建築デザインは建築設計集団OMAのパートナーおよびニューヨーク事務所代表を務める重松象平氏が手がけ、建物は全面ガラス張りで福岡にふさわしい遊びのあるデザインが特徴となっている。

 また、福岡初で国内でも有数の大規模免震構造を備え、国内屈指のBCP(事業継続計画)性能とオフィススペックを備えるほか、共用部には帰宅困難者が滞留可能な一時受入スペースや防災備蓄倉庫を整備し、天神地区の防災拠点としての役割もはたす。テナントはオフィスが中心で、1~2階の低層部と地下部分の一部には商業店舗の入居も計画。また、地下2階部分からは、市営地下鉄天神駅や新たに整備する地下通路と直結させる。

 20年7月には、「極めて優れた“環境・社会への配慮”がなされた建物」として、(株)日本政策投資銀行から「DBJ Green Building 認証」が付与された。同認証制度は、「環境・社会への配慮」がなされた不動産を支援する取り組みとして11年に日本政策投資銀行が創設したもので、同ビルの認証では省エネ促進や省資源化、利用者への利便性・快適性への配慮、優れた防犯性・防災性などが評価された。

 さらに20年11月、(株)ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市/高田旭人代表)が、福岡市を新たに主要な拠点の1つとするプロジェクト「JAPANET@FUKUOKA(ジャパネット アット フクオカ)」を立ち上げ、ホールディングスの主要機能を東京都から福岡市へ移転することを発表。その入居先として、天神BCが選ばれた。ホールディングスの人事・経理などのほか、新規事業開発やクリエイティブなどのグループ会社3社分も含めて12部門を移転させる予定で、天神BCの3フロア・約7,000m2のスペースに入居する。全国的な知名度のあるジャパネットの移転が決まったことで、天神BCへの入居を検討中の他企業の決断が加速する可能性も期待できる。

天神ビッグバンエリア

(つづく)

【坂田 憲治】

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