2022年08月15日( 月 )
by データ・マックス

【天神ビッグバン2020】さらなる容積率緩和や期間延長も コロナ禍で新設オフィス需要に暗雲(3)

福ビル&コア&ビブレ一体開発「福ビル街区建替プロジェクト」

 20年2月11日に「天神ビブレ」(1976年11月開業)が、3月31日に「天神コア」(76年6月)が、ともに44年の歴史に幕を下ろした。両ビルは天神における若者向けのファッション・トレンド発信拠点として親しまれてきたが、今後は隣接する「福岡ビル」(19年3月末閉館)とともに新たな大型複合ビルとして一体開発される。

すでに地上部分が解体された「福岡ビル」
すでに地上部分が解体された「福岡ビル」

 西日本鉄道(株)(以下、西鉄)が「福ビル街区建替プロジェクト」として進める3棟のビルの建替えは、当初、開発を2期に分ける段階開発として着手したもの。第1期事業である福岡ビルと天神コアビルの建替計画を先行して進め、第2期事業となる天神ビブレ部分の天神第一名店ビルの再開発時期はずれる見通しだった。だが19年11月、天神ビブレを運営する(株)OPAの親会社であるイオンモール(株)を始めとした関係各所との協議の結果、街区全体の同時開発が可能になったことで、街区全体の一体開発として建替完了を目指すことになった。

 そして20年11月、前出の福岡市が進める「感染症対応シティ」実現に向けた動きや、産学官連携で進める「国際金融拠点」誘致にともなうハイスペックオフィスへの需要、政府による「温室効果ガス排出2050年実質ゼロ」の表明など、世界的な環境意識やSDGs(持続可能な開発目標)の機運の高まりを受けて、西鉄は同プロジェクトを「感染症対応シティ」に向けた安全・安心なビルへと計画変更する旨を発表した。

 オフィス全フロアに天候や騒音に左右されず自然換気が可能となるダブルスキンを採用し、非接触エレベーターシステムを導入するなどの感染症対応のほか、地域熱供給システムの導入によるCO₂排出量削減や、BEMS(Building and Energy Management System)導入による照明・空調などの制御などの環境負荷を低減する機能を実装。また、停電時でも制震効果を発揮する高性能制震システム導入や、デュアルフューエル非常用発電機の設置による災害時における72時間の電力供給能力など、BCP対応の強化により、入居企業が安心して事業を継続できるオフィス環境を整備する。さらに、基準階面積を従前の約4,300m2から約4,600m2へと拡大し、天井高3mの西日本最大規模となる大規模無柱空間を実現するほか、セキュリティゲートの設置などで外資系企業のニーズにも対応したハイスペックオフィスを目指すとしている。

 計画変更後のビルは、地上19階・塔屋1階・地下4階の高さ約96m、延床面積約14万5,000m2となり、フロア構成は地下3・4階が駐車場、地下2階~地上4階部分が商業フロア、8階~17階部分がオフィスフロア、18~19階部分がホテルフロアとなるほか、6~7階部分にスカイロビー、5階部分に設備フロアを設ける。計画変更によってオフィス面積が変更前の約4万6,000m2から約4万9,000m2へと拡大する一方で、ホテルの客室数は約50室から約40室へと減少。また、仕様や設計などの変更にともない、竣工時期が24年3月末から12月末に変更され、開業は25年3月の予定となっている。

天神ビッグバンエリア

(つづく)

【坂田 憲治】

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