2024年04月26日( 金 )

野党共闘分断を狙う工作活動

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「自公政治を終焉させ、日本政治を刷新するためには、反自公陣営が共闘体制を確立して候補者一本化を実現することが何よりも重要だ」と訴えた3月14日付の記事を紹介する。

次期衆院選が近づいている。
政権奪還の大きなチャンスである。

このことは、直近2回の衆院総選挙結果を見れば明らかだ。
選挙の投票率は5割強。
主権者の半分しか選挙に行っていない。

選挙に足を運ぶ主権者の約半分が自公に投票している。
全有権者のなかで自公に投票した人の比率は2014年が24.7%。
2017年は24.6%である。

25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)
に記述した通り、主権者の25%が日本政治を支配してしまっている。

これは、当選者が1人の選挙区選挙で、自公が候補者を1人に絞る一方で、反自公が複数候補者を擁立しているからだ。
全有権者のなかで反自公に投票した人の比率は14年が28.0%(維新を含む)、17年が25.2%(維新を除く)。
反自公に投票した人の方が多い。

しかし、獲得議席数の比率は
14年が 自公68% 反自公32%(維新を含む)
17年が 自公67% 反自公30%(維新を含まない)
だった。

自公と反自公の特報は拮抗している。
やや反自公が多い。
しかし、反自公が複数候補を擁立するために、自公が漁夫の利を得て多数議席を獲得している。

自公政治を終焉させ、日本政治を刷新するためにはどうすればよいのか。
答えは明白だ。
反自公陣営が共闘体制を確立して候補者一本化を実現することが何よりも重要だ。
これを実現すれば政権奪還は可能になる。

政策連合(オールジャパン平和と共生)
は3月3日に野党5党に衆院選に向けての候補者一本化についての申し入れを行った。

とりわけ重要であるのが次の2点。
1.日本共産党を含む共闘体制を確立すること
2.消費税減税の方向を共通政策公約に盛り込むことにより、れいわ新選組を含む共闘体制を確立すること

この2点を軸に、3月15日に立憲民主党幹部に対して、追加の申し入れを行う予定である。
何よりも重要な点は共産党を含む共闘体制を確立すること。

4月25日実施の参院長野選挙区補選について次の報道がなされている。

参院長野補選、政策協定が波紋=立憲に国民・連合反発、衆院選影響も
「参院長野選挙区補欠選挙(4月25日投開票)をめぐり、立憲民主党候補羽田次郎氏(51)が共産党や市民団体と結んだ政策協定が波紋を呼んでいる。
『日米同盟に偏った外交』の是正が盛り込まれているとして、推薦した国民民主党や立憲の支持団体である連合が反発」
と報じられた。

反自公陣営が共産党を含むかたちで共闘体制を確立すれば、政権交代はいつでも実現し得る。
直近2回の衆院選結果がこのことを裏付けている。

政権交代の気運が高まれば選挙の投票率が上がる。
投票率が上昇する際には反自公の投票が際立って増加する。
逆に、現在の政治体制維持を目論む勢力の最重要課題が、反自公陣営の分断になっている。

上記記事に
「国民民主党や立憲の支持団体である連合が反発」
とされている点がポイント。

国民民主と連合は反自公陣営の分断を狙っていると判断できる。
両者が自公側に属する勢力であると洞察することが重要だ。
立憲民主党が自公政治刷新のために共産党を含む共闘体制確立を主導できるかどうか。
日本政治刷新はこの点に大きく依存している。

政策連合(オールジャパン平和と共生)は、3月15日に立憲民主党執行部に対しての追加の申し入れを行う。
申し入れ文書の文面は以下の通り。

2021年に衆議院総選挙が実施されます。

政策連合(オールジャパン平和と共生)は、「戦争と弱肉強食」を基軸とする日本政治を、「平和と共生」を基軸とする政治に刷新することを目標に活動を続けてきました。
政治刷新を実現するには選挙を通じて政権を刷新することが必要不可欠です。

「平和と共生」を基軸とする政治勢力が衆議院過半数議席を獲得し、新たな政権を樹立することにより、政治の基本路線の刷新が実現します。
「政策連合」は基本政策を共有する政治勢力と主権者である国民が連帯し、基本政策を共有する政治勢力による政権を樹立することが必要であると主張してきました。

政策連合が提示する最重要基本政策は、
1.日本国憲法が定める平和主義堅持
2.原発の稼働ゼロ、
3.共生を実現するための経済政策
  (消費税減税・廃止、最低賃金1,500円政府補償、生活保障法制定等)
の3点です。

この3点を基本政策として共有する政治勢力の連帯、共闘を求めます。
日本の窮状を打破し、一刻も早く救国政権を樹立するために、基本政策を共有する政治勢力による候補者一本化への取り組みを強く求めます。

政策連合は、政権交代を実現できる候補者一本化を達成するために、
1.日本共産党を含む共闘体制を確立すること
2.消費税減税の方向を共通政策公約に盛り込むことにより、れいわ新選組を含む共闘体制を確立すること
をとくに強く要請します。

自民側に公明党がもれなくついてくるから、政権刷新側に共産党がつかなければ勝負にならない。
前回総選挙で立憲民主党が多数議席を獲得したが、共産党の支援なくして実現しなかった。

長野参院補選で
「日米同盟に偏った外交」の是正
が政策協定に盛り込まれたことを国民民主と連合が問題にしているが、この政策公約は適正なもの。
日本の対米隷属、対米従属は、日米同盟に偏り過ぎている点に原因がある。

米国は「日米同盟」を旗印に、特定秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認などの重大施策を日本に強要してきた。
「日米同盟」の名の下に日本の軍事負担を増大させることを目指している。

日本は戦後の憲法で「戦争をしない国」になることを定めたが、米国は日本に対して「米国が引き起こす戦争に加担すること」を強く求めている。
これに隷従することが「日米同盟に偏った外交」の意味するものだ。
日本は日本国憲法に基づいて、米国に対して、いうべきことをいう姿勢を保持すべきだ。

米国は戦利品としての日本支配の権利を手放そうとしない。
米国の本音をわかりやすく述べた人物がいる。
07年9月の日経新聞主催セミナーで、米国務副長官リチャード・アーミテージが次のように述べた。

「米国にとって日本との関係が世界でもっとも重要なのは、日本が世界第2位の経済大国であるためなどではない。
日本の人々が政府を通じて米軍基地の使用を認め、安全保障上の守備範囲を広げてくれるからだ」

敗戦後の日本に対して米国が求めた最重要の要求は
「米国が望むだけの軍隊を、望む場所に、望むだけの期間、駐留させる権利」
を米国が確保し続けること。

そのために、米国は日本の政権を「傀儡政権」のまま維持し続けようとしている。
米国が「日米同盟を基軸」とする日本政府を保持し続けようとしているというのは、これを言い換えたものに過ぎない。

米国にものをいう政権を米国は攻撃してきた。
鳩山内閣が激しい攻撃を受け続けてきたのはこのためだ。
日本政治を刷新するに、対米隷属の勢力を排除することが必要だ。

国民民主と連合執行部は米国に忠誠を尽くしている。
この勢力を除外することで日本政治刷新勢力が確立されることになる。


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