22年度、ついに延伸開業 地下鉄・七隈線が博多駅へ(7)
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【七隈・福大前】学生街からファミリー向け住宅地へ
七隈駅および福大前駅の周辺は、すぐ近くに2万人以上の学生を擁する西日本最大級の私大である福岡大学が立地しているということもあり、学生向けの施設・店舗が集積している。とくに七隈駅付近の城南学園通り沿いには、居酒屋をはじめとする飲食店が軒を連ね、コロナ禍前には多くの学生が食事・打ち上げで足を運び、賑わいを見せていた。
福岡大学のすぐ隣には、ボウリングやゴルフ練習場などを備えた複合施設「七隈ファミリープラザ」があり、若者から高齢者までさまざまな世代が利用。また、すぐ近くには城南市民センターがあるほか、福岡大学病院北側の七隈7丁目では現在、城南区を専管する新たな警察署「城南警察署」が建設中。22年4月の開庁を予定している同警察署は、区内では初めての警察署となる。
年間乗降者数を見ると、七隈では19年の372万7,000人から20年には220万3,000人まで大幅に減少しており、福大前駅でも19年の526万9,000人から20年には262万3,000人まで減少。学生の利用が多かっただけに、七隈線全駅のなかでも、コロナ禍の影響を最も受けた2駅となっている。
駅周辺では、七隈、干隈、松山、片江などで住宅地が形成。
参考地価:「七隈5丁目352番58:12万6,000円/m2」「片江3丁目1323番3:8万2,700円/m2」「松山2丁目467番101:17万7,000円/m2」「福大前駅周辺は、大学と隣接しているため学生の比率が高いのですが、学生をターゲットとしている地域ということで賃料が安価であるため、20~30代の社会人の方も多いです。七隈線延伸により博多駅まで1本で行けるようになり、実家から通学する学生も増加すると考えられますので、学生限定のアパートの需要は例年より減少するのではないでしょうか」(地場不動産関係者)。
「福岡大学周辺は、周辺の他大学が立地する土地に比べてあまり発展しておらず、賃料が安いことが強みです。学生限定アパートというのは、やはりこの地域で営業する不動産会社にとっては競争率の高い物件になってくるわけですが、現在はリモート授業による一人暮らしの学生の減少や、近い将来には七隈線延伸による実家から通う学生の増加が見込まれることから、学生アパートのニーズは落ち込むことが懸念されます。そのため当社では、脅威となる七隈線延伸を逆手にとって、現在はファミリー層向けの分譲マンションに近い仕様の賃貸マンションを建て、新たな顧客の開拓に努めています」(高田住宅)。
これまでは学生のまちとして存在感を発揮してきたこのエリアだが、今後は七隈線沿いにしては比較的安価であることを生かし、ファミリー層を新たなターゲットとして開拓していく傾向にあるようだ。
(つづく)
【坂田 憲治/立野 夏海】
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