2024年04月26日( 金 )

福大病院本館を建替え~医療機能を拡大、病床は削減

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 福岡大学病院は11月4日、同病院の本館を建て替えると発表した。これに合わせて、新型コロナウイルスなどの感染症医療や新生児医療、災害・救急医療の機能を拡大。その一方で病床を再編、削減する。235億円を投じ完成は2022年12月の予定。

 同病院は、1973年の福岡大学の医学部開設にともない九州電力病院を移管して開業した。病床数は一般891床、精神60床の計951床。本館、新館、西別館、救命救急センターの4棟に分散する。計画では、人口減少などを想定し、本館の建替えを機に病床を144床削減し771床にする。

建て替え後の福岡大学病院本館のイメージ図。
屋上にヘリポートがある建物が本館。手前は新館。(福岡大学病院提供)

 一方で病院機能を見直す。同病院は1998年12月、厚労省と福岡県から周産期医療の中核施設となる「総合周産期母子医療センター」に指定されている。これを反映させ、早産児や低出生体重児などを集中的に管理・治療する新生児集中治療室(NICU)の病床を現行の15床から24床に増床する。

 新型コロナ感染症の拡大に対応するため、昨年7月に重症の呼吸不全患者を受け入れるECMO(エクモ、体外式膜型人工肺)センターを救命救急センターに併設。今年10月にはECMO装着が必要な重症のコロナ患者の搬送にする『ECMOカー』を九州で初めて導入した。

 こうした経験をいかして、新興・再興感染症の治療に力を入れる。このため室内の空気や空気感染する恐れのあるウィルスや細菌が、室外に流出しないよう気圧を低く維持する「陰圧室」の数を、現行の7室から36室に増やす。陰圧室は通常、病床は1床だが、同病院庶務課によると、一部の手術室と外来診察室も陰圧室に切り替え可能にして最大44室程度の陰圧室を確保するとしている。

 災害・救急医療では地上のヘリポートを本館完成後は屋上に移設。検査室や手術室への搬送をより迅速にする。手術室も現行の14室を20室に増やす。遠隔操作が可能なロボット手術室も設ける。

 本館は地上12階・地下1階建て。延床面積は救命救急センターを取り込むため現行比1.3倍の5万1,992m2。新館(地上7階・地下2階建て)の南側隣接地で10月に着工した。新館とはこれまで通り連絡通路で結ぶ。医療機器の導入に約80億円見込んでいるが、機器の内容は未定という。

 同病院は福岡県に4つある特定機能病院の1つ。診療科目は30科目。19年度実績で外来患者数は約34万9,000人、入院患者数は約26万7,000人。

【南里 秀之】

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