まちづくりを支える専門工事、事業者間連携と情報発信で地位向上を目指す
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建設業の魅力を学生たちに伝える活動
──建専連九州では、工業高校を回り建設業の魅力を伝える活動も行われています。
杉山 九州の工業高校を対象に、講演や現場見学、作業体験などを行う「学校キャラバン」を展開しています。(一社)日本建設業連合会とも連携した取り組みで、評判は上々です。また、学生だけでなく、教師向けに2泊3日の研修も開催しております。こちらは教師の方々に必要となる教職員免許更新講座としても認められるため、学校の夏休み期間に多くの先生が参加されます。とくに作業体験は、座学だけではわからない実地の部分を、楽しく学びながら補うことができるため、人気となっています。
コロナ禍で思うような活動はできていませんが、建専連九州としましても、将来を担う若い世代に、建設業界のことを直接伝えられる機会となるため、非常に重宝しています。こうした取り組みを通じて、積極的に情報発信を行っていくことが、これからさらに重要になっていくと思います。
──こうした取り組みを通じて建設業界に入職した若者が、やりがいを感じられるように、評価基準をはっきりさせておくことも大切になってきますね。
杉山 昨年12月、建設技能者の地位や技能に応じた労務費の見積もりと支払いがなされる環境を整備すべく、国交省は建設業団体に対して標準見積書のブラッシュアップを図り、労務費の見積もりにおける建設技能者の地位や技能の反映ができるよう、様式のフォーマットを変更し、レベル別や地位別に想定人工の積み上げ方法を求めています。
まだ始まったばかりの取り組みであり、これから業界関係者からさまざまな意見が上がってくるとは思いますが、労務費を明確にすることで、適正価格の実現、ひいては待遇改善にも期待がもてる、意義のある一歩だと考えています。
また、社員にとっては自分の技能水準が明確になるため、キャリアアップする際の指標を得られることになります。やりがいも見出しやすくなるのではないでしょうか。
──若い世代の確保に向けた取り組みとして、ほかにどのようなことが求められると考えられますか。
杉山 週休2日制には向き合わざるを得ないと考えています。ただ、工期というのが決まっていますので、たとえば「土曜日は半休にする」「会社として寮を用意し、現場までの移動時間を減らす」など、働きやすい環境整備を行うといった対応でも十分プライベートな時間は確保できると思います。実際、昔はそういう働き方も見受けられましたし、無理なことではないと考えています。
また、現場で働くうえで安心感というのは必須ですので、社会保険への加入も促進していかなければなりません。企業側からすれば費用負担が増えるので、決して楽なことではありませんが、長期的な視野に立てば、向き合わざるを得ない問題だと思います。
若い世代を含め、人材確保という点では、日給制を採用している会社もまだ多い業界ではありますが、月給制度を採用し、職人を社員として迎え入れることが大事だと思います。社会保険の加入促進同様、費用負担は増えることになりますが、結果として人材の安定確保にもつながるはずです。
──世界的に女性の活用が謳われていますが、これについてはいかがでしょうか。
杉山 建設業界でも、建築工事業に携わる女性を「けんせつ小町」、土木工事業に携わる女性を「ドボジョ(土木女子)」等として、女性参画の機運を高めようと取り組んでいます。個人的には、テキパキと適格な指示を出せる女性は現場管理に向いていると考えており、監督といった立場で活躍してほしいなと考えています。
建設業界には、解決すべき課題が少なくありません。私たち建専連九州は、専門工事業者の立場からそれらの問題に対する解決策を模索しています。関係各所との協議、技術承継に欠かせない若手確保に向けた活動など、これからも一所懸命に取り組んでまいります。
(了)
【内山 義之】
<プロフィール>
杉山 秀彦(すぎやま・ひでひこ)
佐賀県生まれ。大学進学で上京。1970年に(株)杉山組(現・(株)スギヤマ)に入社。79年、34歳で代表取締役に就任。2010年に代表交代し、会長へ。専門工事業の地位向上、待遇改善のため、複数の公職リーダーを務め、多岐に渡る活動を展開している。- 1
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