「適正価格の実現で労働環境の改善を」
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(一社)全国建設室内工事業協会
九州支部会長/本部常任理事
平木 松美 氏広域連携が強みの九州支部
──まずは、全国建設室内工事業協会・九州支部(以下、全室協九州)の主な役割や取り組みについて聞かせてください。
平木 全室協九州の会員企業数は約140社にのぼり、中小から大手まで、さまざまな企業が名を連ねています。主に職人の労働環境の改善を目的として一丸となって活動しており、連帯感は全国9支部のなかでも屈指のものであると自負しております。
たとえば、九州内で職人不足の現場があれば、全室協九州が人員の手配を行うなど、会員企業間で相互扶助の精神が培われています。また、職人の労働環境の改善に向けた会合や、職人の技能検定1級取得を支援する講習などを通じて、全体として発信力や技術力の底上げも図っています。現在はコロナ禍で思うような活動ができておりませんが、今年5月には登録基幹技能者講習の開催を予定しており、徐々に全室協九州としての活動を再開していければと考えています。
──内装工事に従事する職人の労働環境をめぐる現状は、いかがでしょうか。
平木 私はこの業界に身を置いて40年以上になりますが、入りたてのころは職人の暮らしぶりに憧れを抱いていました。というのも、当時の職人はさまざまな企業の仕事を手がけ、現場から現場へ高級車で移動していましたし、親方ともなれば、生活水準はさらに高かったのです。それが、徐々に社会的な要請などの影響を受けて変化していき、リーマン・ショックを境に完全に一変してしまったという印象です。
若手職人のなかには、仕事の内容と収入が釣り合わないと考える者も増え、他業種への転職を決断する者もいます。さらに、3K(きつい・汚い・危険)のイメージが広がったことで、新規入職者数は減少傾向で推移しています。発注価格の見直しなど、状況を打破するきっかけはあったはずですが、長年放置されてきた結果として、職人の高齢化、職人不足という問題に直面しています。
全室協九州としても、国土交通省との意見交換会などを通じて、待遇改善に向けて積極的に動いています。建設キャリアアップシステム(CCUS/※)の利用促進や国が求める働き方改革も進めていこうとしていますが、そのためにはまずは原資が必要であり、ひいては適正価格の実現が不可欠です。
※建設キャリアアップシステム(CCUS):技能者が、技能・経験に応じて適切に処遇される建設業を目指し、技能者の資格や現場での就業履歴などを登録・蓄積、能力評価につなげる仕組み。
【内山 義之】
<プロフィール>
平木 松美(ひらき・まつみ)
福岡県三潴郡大木町生まれ、久留米在住。柳川商業高等学校卒業後、さまざまな経験を経て、(株)ビルドプランで10年間専務を務めた。2021年9月、(株)アーキプロを設立し、代表取締役に就任。(一社)全国建設室内工事業協会の九州支部会長および本部常任理事を務め、専門工事業者の労働環境改善に尽力している。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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