2024年04月28日( 日 )

「適正価格の実現で労働環境の改善を」

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「若手の入職」へ 青年部立ち上げの狙い

(一社)全国建設室内工事業協会
会長 横山 忠則 氏 

会長 横山 忠則 氏
会長 横山 忠則 氏

    ──(一社)全国建設室内工事業協会(以下、全室協)について教えてください。

 横山 1976年に内装仕上工事業を代表する唯一の国土交通省の認可団体として設立されました。現在では、全国で正会員860社、メーカー等の特別会員252社の業界団体として、(一社)建設産業専門団体連合会に参画し、活動しております。全室協は主に、内装仕上工事業者の待遇向上と技能労働者が安心して働ける環境整備、会員企業の経営健全化の推進を目的としており、技能検定試験、講習会、研修会などを運営しております。

 ──技能検定試験とは、どのような資格でしょうか。

 横山 79年から優秀な技能者の育成を目的とする「内装仕上げ施工技能検定」(以下、技能検定)を、労働省(現・厚生労働省)指導の下、当会が主体となって実施しています。技能水準ごとに1級~3級を設けて、日々更新される技術に後れないように、試験内容やそれに付随する勉強会なども常に新しいものにしています。国家資格を有する職人を1人でも多く輩出することで、待遇面の底上げを図っているところです。

 一方で、現在の内装工事業界は建設業界全体とは異なり、活況が感じられず、適正価格・適正工期での受注や社会保険の加入状況、法定福利費の取得状況など、まだまだ改善すべき課題が少なくありません。このまま厳しい状況が続けば他産業との格差が広がるだけでなく、人材獲得競争にも影響し、若い力が現場から離れていずれ「職人」と呼べる人材がいなくなってしまうのではないかと危惧しております。このような課題解決には、資格試験の実施や勉強会以外の取り組みも必要だと考えています。

 全室協では、2019年に「経営の健全化と技能者の確保・育成~技能の担い手を育て守るさらなる推進~」をメインテーマに掲げ、第十次構造改善事業をスタートしました。本事業では、「担い手の確保・育成」「標準見積書の活用」に積極的に取り組むことで、ダンピング・指値発注等の諸問題を解決し、適正工期・適正価格の確保の実現を目指しています。建設技能労働者の処遇改善に向けて積極的に事業を推進することで、「内装工事業会社のレベルアップと技能者の確保・育成」に努めています。

 ──九州支部の平木会長も、内装工事業界の待遇面や職人不足を懸念されていました。

 横山 職人不足は全国的な課題ですし、働き方改革による週休二日制の推進や、CCUSの本格的な運用、特定技能外国人労働者の受入等の課題などもあります。

 内装工事業界は、個人事業主として活動している人も多く、社員数10人未満の中小企業が非常に多い業界です。そのため、このような国の施策や業界全体を取り巻く問題に対して、個別で対応していくことは困難な状況です。当協会としても、関係省庁や各建設業団体との連携を基に、課題解決に向けた取り組みを促進してまいります。

 また、協会内部の組織改革にも着手しています。私が会長に就任してから、青年部を発足しました。各支部から1名ずつ若手のリーダーを募り、現在は9名で活動しています。青年部発足には、より若い世代の“現場の声”を協会活動にも組み込む目的があります。

 3Kと言われがちな業界環境と給与水準は、人材確保を困難にする大きな要因ですが、そのほかにも我々のような古参の職人には想像できない要因もあるのではないかと考えられます。職人の世界は、師と弟子の関係があるようにトップダウンの組織になりがちです。ゼネコンなどの建設業が内装仕上工事業に支えられているように、我々も若い世代に支えられています。だからこそ、ボトムアップによる組織づくりが、今こそ必要不可欠だと考えています。

(了)

【内山 義之】

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