2024年04月24日( 水 )

美観・質向上を担う塗装工事、停滞した業界環境の改善が課題

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(一社)日本塗装工業会   福岡県支部
支部長 池田 幹友 氏

塗装技術を競い合い、職人の技術力向上へ

 ──日本塗装工業会(以下、日塗装)について、お聞かせください。

 池田 日塗装は、建設塗装工事業者約2,300社で構成された47都道府県に支部を持つ唯一の全国団体です。1948年4月に任意団体として発足し、59年5月には建設省の認可団体として社団法人に改組し、建設業法の届出団体となりました。その後、2012年に一般社団法人へと移行し、現在に至ります。設立から70年以上にわたって技術・技能の研鑽と向上に努め、社会の信頼に応えています。

日本塗装工業会 池田 支部長
日本塗装工業会 池田 支部長

    日塗装としての大きな役割の1つは、職人を育てることで、技術を次代に継承していくことです。その一環として、職人の塗装技術・技能レベルの向上と技能の継承を目的とした「全国建築塗装技能競技大会」(以下、競技大会)を2年に1度開催しています。この競技大会は北海道から沖縄までの全国各都道府県単位で約半年前から予選が行われ、その予選を勝ち抜いた腕自慢の塗装技能者が日本一を競うもので、50年以上の歴史があり、全国10ブロックが持ち回りで主催を務める仕組みとなっています。直近に開催された「第26回大会」(19年10月16・17日)では、私ども九州ブロックが主催を務め、北九州市や国土交通省、福岡県などから全面的な支援を受けて開催しました。同大会では、「つなごう技能のタスキ!未来へ走れ!その匠の技で!」をテーマに掲げ、北九州市西日本総合展示場新館を舞台に、55名の職人が塗装の技術を競い合いました。出場した職人らは大会の2日間をかけて1つの作品を仕上げるのですが、各人とも大会に向けて練習を重ねてきているため、ハイレベルな戦いが繰り広げられます。そして各作品の審査の結果、最優秀者には内閣総理大臣賞、優秀者には国土交通大臣賞や厚生労働大臣賞などが授与されるほか、下地作業パテ平滑仕上げや木目調仕上げなどの部門賞もあります。ちなみにこの大会で内閣総理大臣賞を受賞したのは、福岡県支部の代表選手でした。こうした受賞は、職人の方々の大きな自信につながります。なお、本来であれば第27回大会は21年に開催予定でしたが、残念ながらコロナ禍で中止を余儀なくされてしまいました。次は24年に新潟県長岡市で開催予定です。

塗装工事 イメージ    競技大会のほかに、各県が持ち回りで主催する全国大会も年1回の頻度で開催しています。競技大会が職人の大会だとすれば、全国大会は会員会社の大会で、各企業の代表者や管理者などが参加します。ただ残念ながら、こちらもコロナ禍により3年連続で中止を余儀なくされています。

 また、日塗装は15年に国土交通省による「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に登録されました。これは、住宅リフォーム事業の健全な発達および消費者が安心して住宅リフォームを行うことができる環境の整備を図るために創設されたもので、会員のリフォーム工事に関する電話相談窓口を設けるほか、500万円以上の工事では瑕疵保険に加入すること、リフォーム事業者としての資質向上のための研修会を開催するなど、顧客に満足いただけるよう努めています。

 このように日塗装では、技能の継承・人づくりのための事業や、技術と経営に優れた専門工事業を目指す事業、安心・安全な環境づくりなどさまざまな事業を実施し、会員企業の支援を通じて塗装業界の発展に向けて努めています。

 ──福岡県支部の役割についてお聞かせください。

 池田 福岡県支部の大きな役割の1つは、日塗装本部と同じように若手職人の育成です。たとえば、国が認定する塗装技能士という技能検定(1級・2級)があるのですが、その検定試験に向けては年に2回、北九州市と久留米市で2~3日間の研修の機会をつくり、教育・指導を行っております。この研修では1回あたり約100名が受講しており、そこで実技および学科を学んでもらっています。これは会員の従業員の方々の能力向上に対し、わずかでも寄与できればと思って行っております。

 ただし、現在の福岡県支部の会員企業数は106社で、残念ながら減少傾向にあります。というのも、先に述べたような研修や情報共有などのメリットはあるものの、「会員になったら優先的に仕事を回してもらえる」といったわかりやすいメリットがないからです。これについては、情報発信を強化していくなど、何らかの対策を検討していかなければなりません。

【内山 義之】


<プロフィール>
池田 幹友
(いけだ・みきとも)
1949年2月、北九州市小倉北区出身。70年3月に福岡大学法学部卒業後、同年4月より鉄鋼会社へ入社し、工程管理などを行う。73年にダイキ工業(株)に入社し、82年10月に同社代表取締役に就任した。(一社)日本塗装工業会福岡県支部長(3期目)のほか、(社)北九州中小企業団体連合会会長や福岡県中小企業団体中央会副会長などの数々の要職も務める。

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