2024年04月19日( 金 )

美観・質向上を担う塗装工事、停滞した業界環境の改善が課題

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(一社)日本塗装工業会   福岡県支部
支部長 池田 幹友 氏

厳格な規定が足かせ、新工法・塗料の開発が困難に

 ──塗装工事業界における課題などはいかがですか。

 池田 私が業界の大きな課題だと感じていることは、現在の塗装工事においては、建設業法などの法律やJIS規格によって、工法や使用可能な塗料などがガチガチに厳格に決められてしまっていることです。この建材への塗装であれば、決められたこの塗料で、決められた回数を塗る――といった具合で、塗装工事業者が勝手に違う塗料を使ったりすることはできません。当然ですが、施工能力の差などは出にくく、「どの塗装工事業者がやっても一緒」「価格が安いほうが選ばれる」というような事態になってしまっています。

 本来であれば、業界としても新たな工法や塗料の開発などには取り組んでいかなければならないのでしょうが、資金もかかりますし、国からの認可も簡単には下りません。そうなると、塗料メーカー側も規格に準じた塗料しかつくりませんし、新しい技術・工法が出てきませんし、進化もせずに停滞してしまっています。こうした現状が、業界の大きな課題だと思っています。

 もともと、こうした法規制や規格などは、戦後の混乱期に蔓延していた粗悪品や施工不良などをなくすためにつくられたもので、当時は業界全体を一定の水準まで引き上げる効果はあっただろうと思います。しかし今ではこの法規制や規格が、世界に通用する新しいものを生み出す足かせになってしまっています。こうした状況が改善できればいいとは思うのですが、長年にわたって続いてきた慣習を変えることは難しく、残念ながら一朝一夕には進まないと考えています。

職種を細分化し、入職者増加&離職者減少を

 ──職人不足が進むなか、日塗装としての対応策などはいかがですか。

 池田 担い手の確保は大きな問題です。日塗装では、建設技能者1人ひとりが持つ経験や技能に応じた処遇が受けられるよう、そして塗装工事業が魅力ある職場として多くの人たちに入職していただけるよう、建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及推進や技能者の能力評価の策定をしています。

 また、塗装工事業の特徴ともいえますが、大工や鳶職人などの長期間の修行が必要となるほかの専門工事に比べると、修行期間が割と短くて済み、若い人たちが入ってきやすい業種だと思います。この点、もっとアピールして入職者を増やしていければ、と。

日本塗装工業会 池田 支部長
日本塗装工業会 池田 支部長

    そして建設業界全体にいえることだと思いますが、たとえば、ほとんどの元請のゼネコンには施工管理者のみが多く、職人はいませんよね。私たち専門工事業者には、施工管理者および職人がいます。私の持論ですが、専門工事業者のなかでも管理責任者と職人とを分けるべきだと思います。というのも、施工管理者になるための勉強や完工後の書類作成などが不得手で、できればしたくないという若い職人も少なくありません。適材適所ではないですが、本人の適正や希望に応じて、施工管理者なら施工管理者、職人なら職人と分けてあげたほうが、入職希望者や離職者が減るのではないかと思います。

 私たち日塗装は今後も、塗装工事業界唯一の全国団体として業界の地位向上や発展のために積極的に事業に取り組んでいくとともに、各会員が仕事を通じて社会貢献できるよう、支援を行っていきたいと思います。

(了)

【内山 義之】


<プロフィール>
池田 幹友
(いけだ・みきとも)
1949年2月、北九州市小倉北区出身。70年3月に福岡大学法学部卒業後、同年4月より鉄鋼会社へ入社し、工程管理などを行う。73年にダイキ工業(株)に入社し、82年10月に同社代表取締役に就任した。(一社)日本塗装工業会福岡県支部長(3期目)のほか、(社)北九州中小企業団体連合会会長や福岡県中小企業団体中央会副会長などの数々の要職も務める。

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