2024年04月27日( 土 )

【古賀市・快生館①】市内外の人材・知見・技術のクロスオーバー

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まちづくり共同事業体調印式
まちづくり共同事業体調印式

閉館の温泉旅館を再生

 コロナ禍で事実上の閉館を余儀なくされた、古賀市・薬王寺温泉の温泉旅館「快生館」。閉館により、「天然温泉という市の重要な観光資源かつ地域資源が失われてしまう」ことを危惧した古賀市長・田辺一城氏が、「withコロナ」社会の到来に対応するための活用策を模索し、打ち出したのが、天然温泉付きのシェアオフィスやコワーキングスペース、サテライトオフィスなどのインキュベーション(新規創業・新規起業の支援)施設として生まれ変わらせる方針だった。すぐさま、2020年9月議会での予算の提案および承認を経て、実現に向けての動きをスタート。国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、5,000万円の予算をかけてリノベーション工事を実施し、21年10月末にリニューアルオープンをはたした。

 リノベーションでは、構造躯体を生かしながら、主に内装面の改装を実施。1階部分の旧宴会場をコワーキングスペースとしたほか、カウンターを備えたカフェスペースも併設。2階部分は、元の客室をリノベーションし、オフィスルーム6室(10人部屋1室、3人部屋1室、2人部屋4室)とした。また、別棟の浴場をクリーニングして再利用するほか、浴場に隣接した場所にはフリースペースを設け、入居事業者らの交流を促す空間となっている。市外からの企業がオフィスとして入居する場合には、進出支援金といったインセンティブを受けることもできるほか、入居にともない三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)からの移住が発生する場合には、福岡県の移住支援事業による移住支援金も付与される。

インキュベーション施設「快生館」
インキュベーション施設「快生館」

まちづくり共同事業体も結成

 今年4月には、県外から進出した企業3社および快生館の運営事業者の計4社が、古賀市の地域活性化の実現をともに目指していくためのまちづくり共同事業体を結成。同共同事業体には、サテライトオフィス誘致支援事業などを手がける(株)あわえ、恋活・婚活コミュニティの運営事業などを手がけるコミュニティ婚活(株)、起業家育成支援事業などを手がける(株)ロコガイド、快生館をはじめとしたシェアオフィス・コワーキングスペースの施設運営などを手がける(株)SALTの4社が参画した(各社については次項で紹介)。

 共同事業体の調印式における挨拶で田辺市長は、「この薬王寺温泉・快生館がリニューアルオープンしてから、すでにさまざまな“クロスオーバー”がここで生まれています。チャレンジングな取り組みであり、そのことに不安がまったくないと言ったら嘘になりますが、その不安を払拭してくれる布陣がこうしてかたちになっているのは、とても心強く思っております。『快く生きる場』という名前を冠したこの快生館を拠点にした今回の共同事業体の結成は、古賀市にとっても、大変重要な、そして大きな一歩だと思いますので、皆さまと一緒に頑張ってまいりたいと思います」と期待の想いを述べていた。

 結成された共同事業体では、事務局機能をあわえが担い、各社が互いに連携しながら、共同で古賀市のまちづくりに取り組んでいる。その1つとして、各社共同でのプロジェクト「古賀ワークスタイル」をスタート。それぞれのワーケーション推進やコミュニティ形成、起業家育成支援、事業イメージ形成推進などのプロジェクトを通じて、地域と企業とのつながりを生み出し、古賀ならではのコミュニティの創出を目指している。

【坂田 憲治】

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