2024年05月23日( 木 )

佐賀駅周辺、国スポ開催に向け活気づく(後)

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建設進むSAGAサンライズパーク

 国スポ開催に向けて、佐賀市日の出エリアでは会場となる「SAGAサンライズパーク」(以下、サンライズパーク)の建設工事が進められている。

 サンライズパークは、1976年開催の若楠国体のメイン会場として整備された、佐賀県総合運動場を全面リニューアルして誕生するスポーツ施設で、総事業費は約470億円。24年開催の国スポを契機として、スポーツを「する」楽しみ、「支える」喜び、さらに「観る」感動など、それぞれの人がそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができるさまざまなシーンを実現し、佐賀県の未来を切り拓く「さが躍動」のエリアとして整備されている。

 サンライズパークは大きくアリーナ、アクア、スタジアム、ショップ&レストラン、プラザの5つの施設で構成されている。SAGA ARENA(サガアリーナ)の観客席は約8,400席で、バレーボールの久光スプリングス、バスケットボールの佐賀バルーナーズをはじめとするプロスポーツの試合や、人気アーティストのコンサート、家族で楽しめるエンターテインメントなど、多彩なイベントに対応する。オープンは23年5月を予定している。

 先行して、21年10月に水泳場のSAGA AQUA(サガアクア)がオープン。22年5月には陸上競技場SAGA STADIUM(サガスタジアム)がオープンしており、10月には、総合体育館のSAGA PLAZA(サガプラザ)のトレーニングルームもリニューアルオープンをはたした。23年のサガアリーナのオープンによって、競技場は全体完成を迎える。

サガアリーナ外観
サガアリーナ外観

 このほか、サガアリーナと佐賀市文化会館を結ぶ国道横断デッキ「栄光橋(ヴィクトリーウォーク)」周辺には、さまざまなショップ&レストランが集約されることになっており、スポーツの試合やイベントが開催されない、平時における日の出エリアへの誘客効果の発揮にも期待が寄せられる。

栄光橋 / JR佐賀駅

佐賀駅周辺の街並みは変わるのか

 サンライズパークは、佐賀駅から徒歩20分程度の場所にある。同駅からサンライズストリート(市道三溝線)沿いに直進していくだけと、道筋もわかりやすい。近隣はロードサイド店舗が多く、交通量も多い。サンライズパークという巨大な箱物の誕生をきっかけに、周辺エリアで再開発の機運が高まりそうだが、すでに高木瀬団地をはじめ、若宮や若楠エリアの住宅街が広がっており、学校もあることから、文教地区としての趣が強い。新たに開発を進めるなら、やはり佐賀駅周辺だろう。

 佐賀駅から徒歩10程度の場所にある神野東4丁目では、「アーバンパレス神野東」が建設中。建築主は第一交通産業(株)。RC造12階建ての全42戸のマンションで、設計・監理を(株)久保建築設計、施工を(株)イチケンが手がける。

 同じく佐賀駅まで徒歩10分圏内では、(株)エストラストによる「オーヴィジョン夢咲公園Ⅱ」の開発も進む。RC造13階建て、全58戸(非分譲6戸含む)のマンションで、施工を(株)梅村組が手がけている。

 どちらの物件も、交通アクセスの高さに加えて、徒歩10分程度の場所にドン・キホーテ佐賀店やゆめタウン佐賀などの商業施設が充実しているほか、若楠国体の開催を記念して整備された公園をはじめ憩いの場も点在しており、相応の生活利便性が確保されている。

 国スポの開催を起爆剤として、佐賀駅周辺における開発が加速していく可能性はある。実際、佐賀市では中心市街地の北端に位置する佐賀駅周辺から、駅利用者をはじめとする人の流れを中心市街地全体へ誘導したいと考えており、実現に向けた施策として「佐賀駅周辺整備事業」に取り組んでいる。

 同事業では、国スポの開催などにより多くの人の利用が見込まれる佐賀駅前に、広場を整備。21年5月に北口の整備が完了し、南口の整備も22年11月頃完了予定となっている。

 合わせて、佐賀駅にもっと親しみを感じてもらおうと、市は北・南両出入口の愛称を募集。3,372件の応募のなかから、北口が「サンライズ口」、南口が「佐賀城口」にそれぞれ決定した。佐賀駅前を盛り上げようとする機運は官民双方で確実に高まっている。同駅周辺では、解体中のガソリンスタンドや更地も見受けられ、今後の動向が注目される。

アーバンパレス神野東現場 / オーヴィジョン夢咲公園現場

佐賀のブランド力を高めるために

 佐賀藩(鍋島藩)体制の確立と総検地により、まちの骨格が構築されていった佐賀県。しかし、その後の歴史はまさに波乱万丈だ。

 明治に入り廃藩置県が行われると、佐賀藩は佐賀県となったが、後に厳原県と合併して伊万里県となり、県庁は現在の伊万里市に置かれた。ところが間もなく伊万里県は佐賀県へと改称され、県庁は現在の佐賀市に移転された。

 佐賀県として落ち着いたかと思われたのも束の間、明治政府に対する士族反乱である「佐賀の乱(佐賀戦争)」が勃発。激戦の末に佐賀軍は明治政府に鎮圧され、懲罰として佐賀県は廃されてしまう。その後、旧佐賀県は筑後の三潴県に併合されるのだが、三潴県も廃されたことで長崎県に移管されることに。このまま消失するかと思われた旧佐賀県だったが、政府への独立陳情などを経て、1883年5月に長崎県の10郡(佐賀郡、小城郡、神埼郡、基肄郡、養父郡、三根郡、杵島郡、藤津郡、東松浦郡、西松浦郡)が分離独立するかたちで、現在の佐賀県として復活する。

 このように、佐賀県は消滅の危機に何度も直面しながらも生き抜いてきたことから、変革期に強い県ともいえる。混乱の歴史のなかで、日本近代化の礎を築いた大隈重信や江藤新平など、数々の偉人を輩出していることからも、その性質を感じ取ることができる。

 DX化やSDGsの目標達成など、新たな価値観に基づくまちづくりが不可欠となるなか、佐賀県にとっては前述の性質を発揮する時がきたともいえる。「佐賀県総合計画2019」は最終年度を迎え、次期総合計画の策定に動き出すタイミングでもある。観光資源の活用、国スポ開催を視野に入れた佐賀駅周辺での再整備事業、行政主導でそれぞれを紐付け、場合によっては隣県も巻き込んだ広域行政計画(まちづくりプラン)として1つにまとめあげることができれば、佐賀県のブランド力を高めることは十分に可能なはずだ。

整備後の佐賀駅北口 / 佐賀駅南口の整備完了イメージ

(了)

【代 源太朗】

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