2024年04月26日( 金 )

トヨタ会長の講演~水素で走るクルマの普及へ

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 情報12月18日~21日に、世界の自動車メーカーが集まる九州最大の車の祭典、「福岡モーターショー2015」が行われた。2日目の19日には、福岡国際会議場でトヨタ自動車(株)(本社:愛知県豊田市、豊田章男代表取締役社長)で「プリウスの父」と呼ばれる内山田竹志会長の講演が開かれた。

 内山田会長は、「水素社会の実現に向けて~トヨタの環境戦略~」という演題で1時間ほど講演を行った。馬車が主な移動の手段だった18世紀から車の歴史を振り返り、大量消費による資源の採掘寿命や、環境汚染による気候変動を問題にあげた。さらに、これらの問題に対処するため、クリーンなエネルギーである水素を挙げ、燃料電池自動車など新しい技術を開発し、それを普及させるという方針を示した。

 水素は、どんな使い方をしてもCO2をださず、大半の1次エネルギーから作ることができるため、枯渇の心配がほとんどないというメリットを持つ。また、福岡市は水素を下水汚泥から精製する取り組みをしており、市の処理場で水素を作って地元で活用するという地産地消型のエネルギーとしても期待できるという。デメリットとしては水素を供給する水素ステーションのコストと、水素を作り、水素ステーションまで運ぶコストが非常に高いことが挙げられるが、今後、設定価格を下げていくという。

 トヨタは1992年から燃料電池自動車の開発をしており、96年には大阪で初めて公道を走っている。トヨタはこれまでに取得した燃料電池車に関係する特許約5,700件の実施権を持つが、1日でも早い燃料自動車の普及を目指し、すべて無償で提供するという。また、昨年12月に発売した燃料電池車「MIRAI」が、発売から1カ月で年間生産計画700台を大幅に上回る1,500台の注文を受けたことから、来年以降これまでの3倍となる年間2,100台を生産、さらに2017年には年間3,000台へと増産を進め、2020年には年間3万台まで生産する方針を示した。


【川元 浩明】

 

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