2024年05月03日( 金 )

日本国民として弾劾する日本相撲協会の違法行為(4)

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青沼隆郎の法律講座 第18回

余談

 これから先は、それでも国会の立法の無謬性を無条件に信じている人に、念のため立法矛盾・過誤を具体的に示す。興味のない人は読み飛ばしてほしい。おそらく、本稿の指摘が官僚の耳にでも入れば、直ちに修正されるから、今しばらくの「天体ショー」のようなものである。(以下、一般社団財団法を法と記す)

 法197条 この条文は一般財団法人の規定について、一般社団法人の規定を準用し、さらに必要な「読み替え」を規定したものである。(参考までに実際の条文を資料として添付する。これを見ただけで立法府の悪意・国民無視が理解できる。)
従って、社団にあって、財団にないものが、「読み替え」によって修正・削除されなければならない。(この作業は準用によって発生した無駄作業)

 たとえば、法76条から89条(法第2章第3節第4款)は準用されているから、これらの条文の文言から財団法人にない「社員」や「社員総会」の文言は修正・削除されなければならない。そのため、法197条でも括弧書で除外条項をあらかじめ記述している。
 ところが、その除外条項に含まれていない法87条には社員総会の文言が存在する。
 そこで、これは単なるミスで社員総会を評議員会に読み替えすれば済むか、との問題であるが、官報により公布した法律の正文としての条文の矛盾を勝手に善解して解釈することは、法解釈としても許されない。修正か削除されるまで、意味不明な無効な条文である。
 もはや官僚の「言葉遊び」としかいえない醜い意味不明の日本語が、読み替え後の奇妙な付加文言である。法197条の文言中から実際にその例を示す。

 [第九十条第四項第六号中「第百十四条第一項」とあるのは「第百九十八条において準用する第百十四条第一項」と、(読み替える)]というのが実際の文言であるが、「第百九十八条において準用する」という文言が付加されただけの「何も読み替えていない」読み替えである。付加した理由は、第百十四条第一項はもともと法197条が準用する範囲にない条文で、次条の法198条が準用する範囲に存在する条文だからである。つまり、準用した条文のなかに準用した条文がある「入れ子」準用のため、かかる無駄な付加文言つきで読み替えられている。しかし、付加文言の有無にかかわらず、「第百十四条第一項」が適用される意味に変化はなく、まったく官僚の単純な論理的錯誤に基づく言葉遊びである(これを先達は「蛇足」と表現した)。これが条文の実態である。以上の説明を「難しい」と感じられれば、もはや官僚に盲目的に従うしかない。そして、それこそ官僚が日夜励んでいる立法作業の真の目的である。繁文縟礼という言葉が古くからこの官吏の悪行を表現してきた。

余談 了
(つづく)

<プロフィール>
青沼 隆郎(あおぬま・たかお)

福岡県大牟田市出身。東京大学法学士。長年、医療機関で法務責任者を務め、数多くの医療訴訟を経験。医療関連の法務業務を受託する小六研究所の代表を務める。

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