糸島の国際化、始まる 進む、知と文化の交流拠点「泊カツラギ地区計画」
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“元氣ないとしまを、豊かさ実感のいとしまへ”――。この実現に向けて、糸島市が描く成長戦力の1つに、九州大学(以下、九大)伊都キャンパスの活用がある。さまざまな取り組みが市と九大間で実施されるなか、新たな生活拠点としてまちづくりが進むのが、「泊カツラギ地区計画」だ。
「泊カツラギ地区計画」
泊カツラギ地区計画が策定されたのは、糸島市の前身である前原市のころ。2010年5月、市と九大間で締結された「組織対応型連携協定(※)」では、相互の資源を活用することで、産業の高度化や新産業の創出など、地域社会の振興に寄与するまちづくりを進めることが確認された。
糸島市泊カツラギ地区は、糸島市と福岡市西区との境界に位置する九大・伊都キャンパスの南西側エリア。九大の南ゲートを擁し、“九大の門前町・糸島”のなかでも、最も九大に近いエリアとして「大学門前町」としてのブランディングも図られているほか、九大を中心とした新たな商圏の誕生にも期待が高まっている。
住居不足と国際化への対応
大学門前町として、相応の生活インフラ整備が求められる泊カツラギ地区。先行して進められているのが、九大関係者―とくに学生向けの居住区整備だ。
同エリアでは、すでに400名を超える学生が生活している。九大の調査では、18年度に大学内の寄宿舎(留学生枠)だけで1,177人分の住居が不足するとの予想も出ており、学生からの需要に対して周辺の住居の供給が追いついていないのが現状だ。また、九大に通うのは日本人学生だけではないため、当然ながら外国人留学生に向けた対応も必須となる。
九大には、世界99カ国から2,400人(18年10月現在)を超える人材が集まっている。通学の便や手ごろな家賃相場(新築で4万円以下/月は珍しくない)に魅力を感じ、生活拠点として同エリアを選ぶ留学生は少なくない。そのため、標識などへの外国語併記といった、国際化に向けた取り組みも急務だ。糸島市では、留学生と地域住民が交流できる場を積極的に設けており、18年度は国際交流を目的とした事業に対する補助を強化。糸島市民にとっては、国際感覚を身に付けられる機会であり、留学生にとっても異文化交流を通じたフィールドワーク実施のチャンスになる。
住居に関しては、フィットネスジムと温浴施設が一体となった「元気くらぶ伊都・伊都の湯どころ」などの経営で知られるセトル(株)が、食事付き学生向けマンション「セトル伊都」で410室を提供。それ以外では、「オレンジゴルフ前原」周辺エリアで84室、近隣の糸島市馬場エリアなどで65室の共同住宅が用意されている。また、至近の大塚エリアでは、200戸分の住宅整備のほか、「大塚溜池」を地域住民や九大関係者たちの憩いの場となる「(仮称)親水公園」(約2.3ha)として再整備する構想も立ち上がっている。
最終的には、外国人留学生向けの住宅だけで500室超を目指すほか、九大関係者のゲストや糸島への観光客を迎え入れるためのホテルも計画されている。外国人留学生にとっても住みよいまちづくりを目標に掲げる「九大国際村構想」。泊カツラギ地区計画は、その試金石となる。
【代 源太朗】
※組織対応型連携協定:産学官が共同して国際競争力に優れた最先端の実用化技術を開発することを目的としたもの。
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