2024年04月26日( 金 )

交流拠点都市の復権へ!4つの重点エリアで進む『都市再生』(前)

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 2022年の開業を目指す九州新幹線長崎ルート。当初、導入される予定だった新型車両フリーゲージトレイン(以下FGT、軌間可変電車)はとん挫し、現時点では、武雄温泉―長崎間のみをフル規格路線(通常の新幹線)でつなぐことが決定している。博多―長崎間を40分程度の短縮で結ぶ全線フル規格が望まれるところであるが、すでに新幹線開通を契機とした再開発が、長崎市中心部で始まっている。

生まれ変わる公共施設

現在のJR長崎駅

 長崎市の『都市再生総合整備計画』では、(1)長崎駅周辺エリア(118ha)のほか、官公庁舎やオフィスビルが集積する(2)中央エリア(99ha)、商業地区が中心の(3)まちなかエリア(89ha)、大型クルーズ船を受け入れる(4)松が枝周辺エリアを4重点エリアとし、長崎市中心部で大小さまざまな再開発を進めていく。

 大規模な開発が目白押しの(1)長崎駅周辺エリアでは、長崎魚市跡地に建設されている新しい長崎県庁舎が今年11月に完成。来年1月から引っ越しを完了した部署より順次新しい建物で開庁していく予定。また、新県庁舎に隣接するかたちで建設されている長崎県警本部庁舎は、来年1月から2月末までの移転を予定している。

長崎市HPより
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 JR長崎駅の西側にある交流拠点施設用地 約2万4,160m2では、「(仮称)長崎市交流拠点施設整備・運営事業」として、今年11月に優先交渉権者の決定および公表が行われる予定。長崎市は、事業目的のなかで「国内外から多くの来訪者を呼び込むとともに市民交流を促進するMICE(マイス)(※)施設と、都市ブランドの向上を図るホテル、地域の賑わいと活力を生み出す民間収益施設の複合施設を、事業全体の効率化やコスト縮減を可能とする民間活力を積極的に導入することにより、官民一体となって整備、運営する」とし、PFI方式を採用。SPC(特別目的会社)などが市と事業契約を締結し事業を実施するかたちとなっている。

 また、MICE施設については、「コンベンションホール(3,000m2)、イベント・展示ホール(4,000m2)、会議室(20室)、駐車場(300台)を備え、主な誘致ターゲットとして、参加者3,000人規模を中心とした学会、大会などや、長崎市の特色を活かした医学や平和などの会議を誘致する」とし、民間収益施設としてホテルなどが併設される計画だ。

 (2)中央エリアでは、復元された「表門橋」が今年11月24日(予定)に開通し、往時の人工島としての様相を取り戻しつつある「出島和蘭商館跡」。完全復元にはまだ時間がかかるが、観光集客効果に期待が集まっている。市庁舎は長崎市公会堂跡地への移転・新築を予定。オフィスビルが集積する現市庁舎の周辺エリアは地価が急騰しており、長崎県庁舎の跡地とともに市庁舎跡地の活用が注目される。

(つづく)
【山下 康太】

会議(Meeting)、研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、 展示会・イベント(Exhibition/Event)の頭文字を組み合わせた言葉

(後)

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