2024年04月27日( 土 )

元会長(ゴーン)の国外逃亡~生き残れるか日産グループ(4)

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 【表1】を見ていただきたい。日本に本社がある自動車メーカーの2019年の新車(登録車・軽自動車)販売台数の順位表である。登録車は乗用車・貨物車・バスで、特殊車やトレーラーは含まない。

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~この表から見えるもの~

 2019年の新車販売台数は前年比▲76,851台の5,195,216台(▲1.5%)と、3年ふりに減少している。内訳は、登録車が前年比▲63,073台の3,284,870台(▲1.9%)。軽自動車は前年比▲13,778台の1,910,346台(▲0.7%)となっている。

 月別で見ると、新車販売台数が一番多いのは3月で、前年比▲20,711の640,814台(▲4.0%)。3月期決算の企業が多いことがその要因と見られる。

・次が9月。10月1日からの消費税増税が大きく影響したようだ。

 通期の販売台数の1位はトヨタで、前年比+38,526台の1,547,173台(2.6%増)。シェアは28.6%から1.2%上昇して29.8%と、大きく伸ばしている。

・2位はホンダで、前年比▲25,151台の722,075台(▲3.4%)。2位ではあるが1位トヨタの1/2弱しかなく、大きな差が目に付く。シェアは14.2%から▲0.3%の13.9%。

・3位は軽四輪が主体のスズキで、前年比▲18,580台の696,014台(▲2.6%)。シェアは13.6%から▲0.2%の13.4%。

・4位は軽四輪が主体のトヨタグループ傘下のダイハツで、前年比+12,068台の658,849台(1.9%増)。シェアは12.3%から+0.4%上昇して12.7%。

・5位は日産自動車。前年比▲48,390台の567,643台(▲7.9%)と大きく減少。内訳を見ると、登録車は前年比▲58,809台の367,514台(▲13.8%)。軽自動車は前年比+10,419台の200,129台(5.5%増)。登録車の減少を軽自動車がカバーしている。シェアも11.7%から▲0.8%の10.9%。2018年11月に逮捕されたゴーン前会長の影響を受けて、厳しい状況が続いている。

・6位はマツダで、前年比▲17,163台の203,580台(▲7.8%)。シェアは4.2%から▲0.3%の3.9%と、4%割れとなっている。

・7位はSUBARUで、前年比▲17,192台の131,261台(▲11.6%)。シェアは2.8%から▲0.3%の2.5%。

・8位は三菱自動車で、前年比▲1,105台の103,486台。シェアは1.98%から1.99%と僅かではあるが、0.01%上昇。新車販売台数ではゴーン前会長逮捕の影響は少ないように見られる。

・9位はいすゞで、登録車は前年比+4,695台の81,442台(6.1%増)。シェアも1.5%から+0.1%上昇して1.6%となっている。

・11位にトヨタのレクサス。前年比+7,298台の62,394台(13.2%増)と大幅に増加。シェアも1.0から0.2%増加して1.2%と、トヨタグループの躍進が目に付く。

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<まとめ>

 トヨタグループと日産グループを比較すると、トヨタグループの2019年の新車販売台数は前年比+56,872台の2,338,207台(2.5%増)。総販売台数5,195,216台に対するシェアは45.0%。

 登録車のシェアは51.3%で、軽自動車は34.1%となっている。

 一方、日産グループの新車販売台数は、前年比▲49,081台の681,517台(▲6.7%)と、大きな開きがあるのがわかる。全体のシェアは13.1%。登録車のシェアは12.9%で、軽自動車のシェアは13.4%と大きな開きがあるのがわかる。

 この計数は、あくまでも2019年の累計である。しかし、裁判で被告となっている日産のゴーン前会長が2019年12月29日に国外逃亡しレバノンに亡命していることがわかった。自動車業界も米中の貿易摩擦や新型コロナウイルスなどもあり厳しい状況となっている。そんな中、日産自動車グループが経営統合せず、単独で生き残ることは難しいのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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