2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

『脊振の自然に魅せられて』「残雪の道標補修作業と素晴らしきブナ林」(後)

雲1つない青空に聳えるブナの大木
雲1つない青空に聳えるブナの大木

 ところどころに残る雪を踏みしめ、アップ・ダウンを繰り返しながら、休憩地点となるビューポイントへと進む。ようやく小爪峠と金山の縦走路の中間点にある岩場のビューポイントに着いた。午後1時ちょうどだった。ここからは脊振山が一望できる。

 岩場には雪が残っていた。この雪が脊振山の展望にアクセントをつけていた。岩場に腰を下ろし、それぞれ昼食をとる。

 青空のなか、陽だまりが暖かい。平日だからなのか、1人として登山者の姿が見えない。寒さも感じない絶好の登山日和。脊振の山々が我々2人に与えてくれた贅沢な時間でもあった。

 真向かいにある道標のペイント作業と支柱の固定をし、金山方面へと向かった。カマツカの花が咲くピークの小型道標の黄色ペンキで塗装作業を終える。

 ここから縦走路は下りになる。雪で緩んだ下りの山道で登山靴が滑る、靴を斜めにして滑らないように足を交互に下ろす。装備したスパッツがズボンの汚れを塞いでくれた。

 ブナ林が見え始めた、ここから金山山頂手前までは見事なブナ林が続く。葉を落とし、冬枯れのブナ林は青空に高くそびえていた。「凛々しい、きれいだ」と、2人ともカメラを出し、ブナの撮影をする。2人ともカメラ好きで、いつもカメラを携帯している。アングルはそれぞれである。

 梅雨の時期、霧に佇むブナ林のシルエットもすばらしいが、冬枯れのブナ林もすばらしい。雲1つない青空に向かって、凛々しくそびえるブナの大木は、人間がいかに小さな生き物なのかを感じさせてくれるほど荘厳だ。

 このすばらしいブナ林に感動を覚えながら、登りの登山道を進むと、金山山頂(967m)に着いた。時刻は午後2時ちょうどだった。

 「車をデポしてきた坊主ケ滝登山口に届くのは午後4時を過ぎるかな?」山の日暮れは早い、とくに冬場は一層早く感じる。早く登山口に着かないと日が暮れる。少し気があせる。

 ここから登山口までは下りになる。道標、小型道標の作業を繰り返し、下りの登山道の中間地点まできた。

 ここの沢沿いの危険箇所に安全ロープを張りたい。しかし、時間がないのでまた来ようかと思ったが、 Mが「やりましょう」と言ってくれた。

 持参した20mの作業用ロープを張る。3年前の山開きで高齢の登山者が登りで足を滑らせ、大怪我をした場所である。気になっていた場所のロープ作業を20分程度で終えることができた。

 いつもより山にいる時間が長いので、携帯電話が通じる場所から家内に「帰りは午後5時過ぎになる」と電話した。

 福岡市街地がみえてきた。夕日の時間帯だが、今日は天気が良いので陽が高い。市街地は西日を浴びて明るく、疲れを感じなかった。曇り空のなか、作業を兼ねた登山は、日暮れ近くなると心も沈むものである。

 車をデポした坊主が滝登山口に戻ったのは午後5時40分だった。ここから三瀬峠のトンネルを越え、林道の小爪峠登山口へ車を取りに戻る。

 気温が高かったためか、朝にあった残雪もすっかり溶け、ノーマルタイヤを履いたMの車も案心して通行できた。

 小爪峠の登山口で、それぞれの車に乗り、すっかり暗くなった林道をライトで照らし、自宅へと向かった。自宅に着いたのは午後7時だったため、家内が用意してくれた夕食がすっかり冷えてしまっていた。

 長時間におよぶ作業をしつつの山歩きだったが、2人の体は充実感で満たされていた。2人とも、75歳を超えた「お達者な若者」なのだ。

2020年2月27日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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