2024年04月30日( 火 )

「博多」と「天神」の周縁、21年基準地価で上昇率上位に(前)

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 9月21日、国土交通省は「令和3年都道府県地価調査」の結果を発表した。7月1日時点の基準地価は、全用途平均で2年連続となる下落。背景には、コロナ禍による需要減と先行き不透明感があると見られる。そんな状況となった今回の地価調査だが、天神ビッグバンや博多コネクティッドに代表される再開発事業が相次ぐ福岡では、商業地と住宅地いずれも上昇を継続した。福岡県の地価調査は、県内全60市町村の基準値922点が対象となっており、継続調査している899地点のうち498地点が上昇、146地点が横ばい、255地点が下落となった。前年は上昇率が縮小していたが、今回は再び上昇幅が拡大した。

何が違う?公示地価と基準地価

天神ビジネスセンター
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 地価は1月1日時点のものが3月に、7月1日時点のものが9月に公表されるが、前者の調査主体が国交省なのに対し、後者は都道府県となっており、調査時期や調査地点において相互に補完的な関係にある。いずれも土地取引の指標となるものだが、国交省が調査する「公示地価」よりも都道府県が調査する「基準地価」のほうが地方部の調査地点が多い特徴がある。これらは適正な地価の形成を目的に行われており、対象区域は土地取引が相当程度見込めるとして指定された区域で行われる。標準地は、区域全体の地価標準をできる限り代表し得る「代表性」、環境や地積、形状などが中庸である「中庸性」、利用状況の「安定性」、土地の区画が特定できる「確定性」などから選定されている。

 また、同じく公的機関である国税庁が調査主体となって、1月1日時点の価格を公表する「路線価」は、相続税の算定基準となるもので、公示地価や基準地価とは調査地点数などが異なる。路線価は1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格などを基にした価格(時価)の80%程度をメドに評価される。

三大都市圏平均は横ばい、福岡市の上昇目立つ

 今回の調査では、住宅地、商業地ともに全国平均が0.5%下落。東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏平均は住宅地が0.0%、商業地が0.1%上昇となった。東京圏、名古屋圏で回復の兆しが見えたものの、大阪圏が住宅地、商業地でともに下落した。

 地方圏は住宅地で0.6%下落、商業地で0.7%下落と下落傾向が長期化している。ただ、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市平均は、住宅地で4.4%上昇、商業地も4.6%上昇と上昇の継続が見られた。さらに住宅地では、札幌市が7.4%(前年は6.1%)、福岡市が4.4%(同3.5%)、商業地では福岡市が7.7%(同7.5%)と前年を上回った。福岡市は住宅地、商業地ともに9年連続での上昇。前年商業地で10.2%の大幅な伸びを見せていた那覇市は、0.4%の下落となった。那覇市は住宅地でも上昇幅が下落したが、依然として上昇を継続している。

【永上 隼人】

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