歴史・文化・自然を継承する「未来都市むなかた」に向けて
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宗像市長 伊豆 美沙子 氏
ゼロカーボンシティ目指す
――宗像市は10月8日、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を表明されました。
伊豆 2017年7月に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界遺産に登録されました。以来、本市は「世界遺産CITY」として世界的に認知されることになったのですが、こうした歴史・文化・伝統だけでなく、それを取り巻く海などの豊かな自然環境についても、宗像の先人らから守り受け継いできました。昨年7月には「『世界遺産の海』とともに生きるSDGs未来都市むなかた」として、内閣府からSDGs未来都市に選定され、現在も「Save the Sea」を合言葉に、とくに海の環境保全に力を入れています。
一方で、近年は集中豪雨や大型台風などの異常気象が頻発しており、毎年のように各地で大規模な自然災害が発生しています。また、本市は漁業も盛んですが、近年の漁獲量は目に見えて減少してきており、その原因の1つとして考えられるのが、海水温の上昇です。このように、今まさに地球は悲鳴を上げており、温暖化対策をはじめとした環境問題は、この星に住むすべての人々が一致団結して取り組まなければならない課題です。今何とかしなければ、現在の生活はいずれ壊滅してしまうことになり、そうなるともちろん宗像市の未来もありません。
次の世代、さらにその先々の未来の人々の生活を守るためにも、温暖化対策は果たすべき使命であり、本市も国際社会の一員として、そして世界遺産CITYとして、市民の皆さんの共感を得ながらこの課題に取り組んでいく必要があると考え、10月8日から開催された「第8回 宗像国際環境会議」の初日に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明した次第です。
――具体的には、どのような取り組みを行いますか。
伊豆 これまでにも本市では、学校やコミュニティ・センターなどへの太陽光パネルの設置や、公共施設のLED化、全国に先駆けた資源ゴミの分別収集による焼却ゴミの削減などに努めてきました。そのほかに、各家庭の生ゴミを堆肥にするダンボールコンポストの購入費用の補助を行い、ゴミの減量化および資源化につなげるための取り組みも推進しています。さらに今年9月からは本市の離島である地島で、島ぐるみでの3カ月間の実証実験を行っています。これは本市のほか、山口大学と(一財)九州環境管理協会、シャボン玉石けん(株)(北九州市若松区)の4者による産学官連携の取り組みで、合成洗剤の使用を取り止めて無添加石けんを使用すると、海の環境にどのような変化・影響があるかを調べるものです。この実証実験を通じて、海の環境保全や住民の環境意識の向上につなげていきたいと思っています。
これら取り組みの1つひとつは、決して大きなものではありません。ですが、市民や事業者の皆さんと一丸となって取り組んでいくことで、環境に対する意識を変え、これまでのライフスタイルに少しずつ変革をもたらし、いずれ「ゼロカーボンシティ」の実現につながっていくと思っています。
【坂田 憲治】
<プロフィール>
伊豆 美沙子(いず・みさこ)
宗像市出身。宗像高校および京都女子大学国文学科を卒業後、会社員を経て家業の酒造業に従事。そのほか、ラジオパーソナリティーや福岡大学非常勤講師など、幅広い活動を行う。2011年4月から福岡県議会議員を2期務めた後、18年5月に宗像市長に就任。福岡県内初の女性市長として注目された。- 1
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