2021年12月07日( 火 )
by データ・マックス

【ロングインタビュー】立憲民主党福岡県連の代表代行に城井崇氏 保守層と無党派への浸透を目指す(後)

 立憲民主党福岡県連合会は今月13日に常任幹事会を開き、福岡3区で落選した山内康一・県連代表の辞任を承認したうえで後任を城井崇・衆院議員(福岡10区)を軸に調整する方針を決めた。城井氏は当面、県連の代表代行に就き、12月4日の県連大会で新代表を決定する。城井氏は北九州市門司区出身の48歳。県立門司高校(現・門司学園中高)を経て京都大学総合人間学部卒。松下政経塾を経て、民主党代表などを務めた前原誠司氏の秘書に。2003年の衆院選で福岡10区から出馬して自民党の自見庄三郎氏に敗れるも、比例九州で復活当選。今回で4回目の当選。

立民代表戦と維新伸長の背景

立憲民主党の城井崇・衆院議員
立憲民主党の城井崇・衆院議員
(小倉北区の事務所で)

 ――日本維新の会は野党第一党を目指すとみられます。立民など野党に手を突っ込んでくることも予想される。まずは立民の代表選があります。

 城井 知名度ということでは、小川淳也さん(香川1区)が一歩リードしています。まじめで一生懸命、非常に優秀な方で、『なぜ君は総理大臣になれないのか』などの映画で取り上げられたことが大きかったと思います。しかし党内基盤は弱く、推薦人を20人集められなかったために最初は赤松グループに頼んだのですが、そこも断られたという残念な状況がありました。

 党代表として少し軽いのではないかということを心配している方が多いようです。選挙期間中にタレントの小泉今日子さんとインスタライブをしたことを指して、野党第一党代表に求められる安定感は大丈夫なのかと。いわゆる雑巾がけというか、トップの仕事を任せる前に下働きをもう1、2段すべきではないのかという声がベテラン議員の間から上がっています。

 ――枝野さんは慎重すぎるがゆえに叩かれた。小川さんは逆に軽いと。

 城井 政治を身近に感じてもらうという点ではプラスですが、政治の世界で存在感を出すこととの両立は難しい。そこにご苦労があるのではないでしょうか。「立憲民主党は変わった」と言うときに、ではどこが変わったら「変わった」と評価してもらえるのか。そこが、それこそ世代交代論の話になってくるわけです。これまでの立民の執行部は民主党政権のときの大臣メンバーと相当に重なるわけで、「また、そのメンバーか」となるのか。

 枝野前代表が一番振り払いたかったことが、立民に代表される野党は「追及・反対ばかりやっている」というレッテルです。現実にはずいぶんと政策提案型でがんばったのですが、ついにはそのレッテルを振り払えなかった。野党の国会対策の在り方も、野党合同ヒアリングに代表されるようなやり方は一部メディアの耳目はひくものの、一般有権者や国民の支持につながっているのか。疑惑を追及しないということではなく、公平公正な政府運営のためにはむしろ絶対に必要で、行政監視の仕事を放棄したら国会なんて必要ありません。ただそのときの官僚に対する物言いを含めたリアルな部分がどうだったのか。部会や委員会などの場で冷静な議論を国民にお伝えすることもあり得るのではないか。メディア向けにショーアップするだけでなく、落ち着いた議論をしたいと提示している部分ですね。

 ――維新が伸びた背景は。

 城井 積極的背景としては自治体首長を擁していること。そのことで内容の良し悪しは別にして政策変更をかたちにして実現した経験を示して戦えたのは、とくに関西圏を中心にした維新の信頼につながっているでしょう。消極的には、本来なら野党第一党に期待したかった部分について立民に期待できないという層の受け皿になった。自民党政権に批判的な保守から中道にかけての思想の方々の受け皿に立民がなりきれなかったことで、「では維新に入れるか」という流れができたとみています。

 ――立民の支持者からは候補者選定について批判的な意見もあがっていた。福岡においてもそういった声をあちこちで耳にしました。

 城井 選挙でいきなり強い候補なんていないんですよ。私だって、最初に立った2003年の選挙のときの認知度は25%に届いていませんでした。4人に1人も知らない人が小選挙区勝利を目指すなんてありえない(笑)。しかし、そんな私でも地道に政治活動を続けて地域とのご縁を深めることで激戦・接戦を制するところまでたどり着くことができた。これが選挙の醍醐味ともいえます。

 ――候補者を育てる戦略が見えにくいのか。

 城井 そこはご指摘の通りだと思います。こうした混乱は国民民主党が合流する前の旧立民の候補者擁立方針に端を発していて、落下傘での擁立というかたちで旧国民民主党に対する牽制球をずいぶん投げたことがあり、そのときの候補者選定プロセスで甘かった部分がありました。今後は、年末年始にかけて行われる衆院選惜敗者の第一次公認内定をどう進めるのかが大事になります。党の代表選挙でもこのプロセスを年内に前倒しするという公約を掲げる人が出ています。いわゆる惜敗率の数字を厳格に運用しながら、なおかつ約10カ所程度は選挙区変更をともないますので、選挙区の隣り合わせ事情も考慮しながら慎重かつ迅速に決める必要がある。そのときにこれまでの日常活動などとも照らし合わせながら後任内定していくことが必要です。基本的には本部がやることになりますが、福岡県連としてもそこは当然ご意見を申し上げるとともに、今選挙において勝利につながった活動内容などを他候補者にも共有していかなければならない。私自身はそういう立場になったと思っています。

 もともと故・松本龍さんが“10区には城井を”ということで政治活動をスタートさせました。民主党をつくった政治家3人のうちのお一人が龍さんですので、その系譜を継ぐ者としては健全な国政野党をつくり政権交代を目指すという気概をもって、責任を取る覚悟でやりきらなければならない。これは責務だと思っています。

分厚い中間層の復活を目指す

 ――次の参院選をにらんで。立民としてはどのような動きを。

当選後、11月10日の初登院日
当選後、11月10日の初登院日

 城井 11月30日に代表選挙があって、新代表が決まります。福岡は県連大会が12月4日にあり、党大会は1月の半ばからおわりごろ、通常国会に合わせてくると思います。そこで参議院選挙をはじめとした方針を明らかにします。福岡県の定数(改選)は「3」ありますので、野党側候補の確定にむけて県連大会後にすみやかに取り組みます。衆院選を挟んだので参院選の公認内定がずれこんでおり、その作業を急ぎます。参院選だけでなく、福岡市長選(22年12月6日任期満了)や北九州市長選(23年2月任期満了)など大きな選挙が目白押しで、その対応も迫られてくるところです。

 政策論点でいうと、新型コロナウイルスの新規感染者数が下がっていることで、コロナ対策支援の優先順位が下がりつつあることを危惧しています。政府は自助努力と言っていますが、自分の力ではどうしようもない方々がずいぶんいらっしゃいます。個人事業者についての立ち直る手立てを準備するところはきちんとチェックしながら、新型コロナを乗り越えた社会回復、経済回復を具体的に進めなければなりません。

 被災地域などを含めて暮らしが痛んでいる方が多いので、地方経済の活性化も個人消費を伸ばしながら進めていく。自民党が行っている分配強化については私たちが先に提案したものです。“パクる”のであれば良いかたちでパクってもらって行政監視もやっていこうと。そうすることで新しい資本主義がメッキなのか中身をともなうのかがわかりますし、外から刺激を与えつつ、自民党にとって代わるリアリティーを示せるように党の再生強化に取り組みたいです。

 ――政治の対立軸が新自由主義と格差是正の2つに収れんされていっているようにみえる。

 城井 選挙戦を通して感じたのは、納税しているんだけれど手取りが少なくて貯蓄がないという方々が相当数いらっしゃるということです。これまでなら中間層になりえたはずの層が消失してしまいました。こうした実態を踏まえずに数字の上だけで政治を行ってきたのが自民党ではないかと危惧しています。いま1人世帯で貯蓄ゼロの方が4割くらい、2人以上世帯だと約3割です。非課税世帯に対する支援の議論は当然すべきですが、そういう方々にもきちんと光をあてて、生活するとき、学ぶとき、働くときに、少なくともスタートラインに立てるように支えていかなければならない。格差を縮めるのと同時に、かつての言葉でいえば分厚い中間層の復活ということです。少しでも豊かさを感じてもらえるようにしていくのが我々の役割ですね。

 ――北九州市長選について。

 城井 現職の北橋健治さんが出られないということで、すでに各所に相談していますが、いますぐに私たちが応援できるような有力候補を立てられる話にはなっていません。学者タイプが良いのか、官僚タイプがベターなのか。私は経営者タイプが良いと思っています。北九州市の最大課題は人口減少で、それを解消するには地元で働ける仕事や職場が増えることが大事です。地域での経済政策を充実させる、それを民間ベースで考えられる方にリーダーになっていただけるなら、北九州が再び発展を目指すきっかけになる。その人材をうろうろ歩きながら探しているところです(笑)。急がなければなりませんね。

【国政取材班】
※城井氏の近影を除く他の写真は城井氏のTwitterから

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