2024年04月27日( 土 )

豊洲市場裁判の結果と感想=法廷での茶番劇

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

 1月24 日午後、豊洲市場違法建築物除却命令等義務付け請求事件裁判(本訴)の第3回口頭弁論が東京地裁(民事第51 部・清水知恵子裁判長)で行われました。

 この日の口頭弁論において、裁判官は、およそ公正中立な裁判所と思えない 不当かつ非常識な対応を示し、原告側(原告と弁護士)が「不当だ」と、すかさず反撃をするという異様な事態となりました。

 一般的には、不当な審理進行に対し「不当決定だ」と声をあげない原告・弁護士が多いのが現実です。裁判官に忖度しているからです。権力の象徴たる裁判官に遠慮して、言いたいことも 裁判官にはいえないのです。

 しかし、本件の原告代理人である【武内更一弁護士・藤田城治弁護士 】の正義感・闘争心は、裁判官をはるかに上回っていました。

 この声をあげられるかどうかが、裁判闘争のポイントの1つであると、素人ながら思っています。

 東京地裁・清水裁判長は今回の法廷で、建築基準法違反をめぐる実質審理に一切入ることなく「審理終結」のみに的を絞っていたようでした。しかも、本訴と並行していた仮の義務付け申立は高裁の特別抗告許可によりすでに最高裁に審理の場(土俵)が移っていることを考えれば、今回の東京地裁の暴挙(審理に入らず訴えを棄却)は、常識的にあり得ないと思う次第でした。

 最高裁への特別抗告の結果すら待たず、その前になし崩し的に棄却しようとの魂胆であることは、誰の目から見ても明らかでした。
裁判を傍聴した【築地を活かし豊洲を止める会】と支援する仲間たちは、「裁判所の権力の暴挙を絶対に許してはならない!」という怒りを大爆発させ、裁判官退席後も声をあげ続けていました。

審理の内容

 開廷後、先陣を切って原告代理人の武内更一弁護士が意見陳述に立ちました。武内弁護士は、「仮の申立における東京地裁 東京高裁の決定【東京都知事が東京都知事に対して是正措置を命令する法的立場にない】との判断は、『法律的な拘束力のない【勧告】の処分性を認めた2005年最高裁判例』に相反する」という事実を厳しく突きつけました。

 そして「市場で働く何千人、来場する何万人もの人々の生命に関わる人道的な問題」と述べ、訴訟要件だけの二次的要素だけで終わらせるのではなく 現実の違法問題についての審理に入ることを裁判長に鋭く迫りました。

 続いて、原告代理人の藤田城治弁護士が、水産仲卸売場棟の床面に十字に入ったひび割れなど、耐震性強度およびこれらに類する問題、床に著しく問題があることを裏付ける証拠を挙げて説明をしました。
これら原告側の主張に対し、本来なら被告・東京都は、当然、法廷で反論すべきですが、被告東京都からは一切反論がなく、清水裁判長は 都に反論を促すことさえ一切なく、唐突に「審理を終結し判決期日を決めたい」と、何の脈略もないことを言いだしました。

 裁判長の言動から、裁判所の作戦が「棄却を狙っている」ことは火を見るよりも明らかでした。傍聴席から怒りの声があがる中、武内弁護士が直ちに「裁判官忌避」を申し立て、3人の裁判官は「裁判続行が不可能」となり、法廷から逃げるかのように急ぎ足で退出しました。

 【国家権力=裁判所】は、【東京都】と【政商・日建設計】の明白な違法を突きつけられ、被告東京都が 準備書面の提出はおろか 一言の反論さえできず追い詰められている状況の中、極端に偏った 乱暴かつ異様な訴訟進行を裁判所主導で行ったのです。

 この裁判所の暴挙に対し、原告と支援の仲間たちの憤りが爆発し【裁判官忌避】によって、訴訟の進行は停止に追い込まれました。まさに、「下級裁判所の裁判官は【黒の法服を着た公務員同士の馴れ合い集団】である」ことを見せつけられた一幕でした。

 原告の裁判官忌避に対し、今後、裁判所が公正中立に審理を進めることができるのか、裁判所の対応に注目したいと思います。

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