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2019年02月05日 15:48

唐津市の民間塾「からつ塾」~役所は関わらず、市民で運営 合言葉は「大学のない唐津に学問を」

 人口12万人ほどの佐賀県唐津市に、今年で活動16年を迎える民間塾「からつ塾」がある。年8回ほど大学教授や専門家を招聘し、市民に講義と議論の場を提供する民間の活動だ。その関心は歴史や文学にとどまらない。過去にはノーベル賞受賞者の名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長・益川敏英氏や、ゴリラ研究の第一人者である京都大学総長・山極壽一氏を招聘したこともある。

 2003年にからつ塾は8人の唐津市民の手で設立された。同市在住のNPO法人理事や経営者、郷土史家に大学教授と立場はさまざまだったが、「大学のない唐津に学問を」という思いは同じだった。

大嶋仁・福岡大学名誉教授

 発起人の1人で現在同塾の代表を務める福岡大学名誉教授・大嶋仁氏が当時の経緯を教えてくれた。

 「前代表の碇宏八郎がアイデアを出したんです。彼は大阪に生まれて東京で過ごし、唐津市役所に勤めて以来の唐津市民なんですが、同市に大学がないこと、学問に触れる環境がないことに非常な問題意識をもっていた。そして、こういった問題意識を役所がもたないので、民間でやっていこうと決めた。学問に触れる環境を提供したいという思いは私もあったが、当時は移住したばかり。そこで彼がこの計画をもち掛けたので、渡りに舟と参加した」

 同塾の特色は講師陣の幅広さだ。音楽家や昆虫写真家のようなその道のプロを呼ぶこともあれば、歴史や文学などのいわゆる文系の学問の研究者、さらに数学や物理学といった科学のエキスパートも講壇に立つ。

 特殊なコネクションがあるのかと思えば、そうでもない。基本的には研究内容や講演に触れてから、電話やメール、手紙で交渉する。2010年に招聘したノーベル賞受賞者の益川敏英教授の際は、「活動の縁」(大嶋氏)で結実した。

 前年の2009年に、故佐賀大学名誉教授・長野暹氏の講義後、教授を囲んで有志が参加した懇親会の席で、「今後の活動の夢としては、ノーベル賞をとった益川さんを呼びたいものだ」という発言が出た。

 これを聞いた長野教授が「無理な話じゃない。同僚に彼と交友のある研究者がいる」と仲介を買ってでた。アポイントメントを取って、同塾の運営委員数人で益川教授のもとを訪問。同塾の趣旨と依頼を伝えたところ、「それはいい」と好意的な返答があり、1年後の講演が決まった。

 その3年後の2012年には京都大学教授・山極寿一氏の講演が実現した。このときは深夜ラジオで同教授の研究内容を知った運営委員が電話と手紙でアポを取り、「30分だけ」と限られた時間をもらって氏の研究室を訪ねた。

 山極教授はその情熱に参った様子で、「唐津から京都まで依頼するためにきたと言われたら、断れませんよ」と苦笑していたという。

 今年で活動開始から16年目を迎え、8人の運営委員も世代交代。活動資金は講演の参加費と有志企業からの協賛金で賄われてきたが、近年は地元の財団の助成金も受け安定している。

 次回は2月23日(土)午後3時からJR東唐津駅前の唐津ビジネスカレッジで行われる。講演はみえ熊野学研究会運営委員長・三石学氏による「熊野学入門」。熊野古道につながる熊野信仰の特異性を紹介する。

 同塾では熊野のユニークな郷土史と文化を再発見する同研究会の取り組みを紹介するため、半年に1度、全4回で「熊野もの」を開講する予定だ。

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