2024年04月27日( 土 )

新たな門出を祝して~西日本国際教育学院、第25回卒業式を挙行

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(学)宮田学園が運営する西日本国際教育学院の第25回卒業式が、3月8日午前10時から、福岡市立南市民センターで執り行われた。当日は春の陽気にも恵まれ、多くの在校生や来賓が集まり、留学生355名の新たな門出を祝った。


 まず印象に残ったのは、卒業証書授与。担当教員が卒業生の名前を1人ひとり読み上げていたが、中には感極まって涙を流す教員の姿も。卒業生たちは名前を呼ばれる都度起立し、「ハイ!」という歯切れの良い返事をしていた。

 式辞では、宮田智栄学院長が登壇。冒頭、「今日の卒業式は元気で自由なあなたたちにピッタリな天気になりました。いい春の日に卒業を迎えることができ、卒業おめでとうございます」と述べた。また、創立当初およそ100人の留学生を受け入れたところから始まった当学院が、今や300人を超える留学生を受け入れ、教育・指導ができる環境が整ったことについても触れ、「学校の先生方、地域の皆さまの協力、そして卒業生のみんながしっかりと歴史をつくってきてくれたからだと思います。今日卒業を迎える皆さまは、ここで学んだことを生かし、当学院の卒業生として自信とプライドをもって、明日からの人生を歩んでいってほしいと思います」と話し、最後に贈る言葉として、「これからは言葉だけではなく、見ること・聞くこと・行動することを頭で考え、それができる人になってください。あなたたちならできると信じております」と結んだ。

 告辞では、宮田道郎学園総長が登壇。「ここ2、3日体調を崩していたが、今日のために気合を入れて出てきました!」と大きな声を発し、「学校生活は苦しい、厳しい毎日だったと思いますが、一生懸命見守り、支えてくれた先生方に感謝の気持ちを忘れてはなりません。感謝の気持ちや恩をこれから出会うたくさんの人に返してほしい。そしてありがとうの言葉をたくさんいえるようになってほしいと思います」と述べ、最後に「初志貫徹」と「一念、道拓く」の言葉を贈り、「みんな頑張れ!」と力強く声を上げた。

 来賓祝辞では、在福岡ベトナム社会主義共和国総領事館総領事のグエン・フォン・ホン氏、筑前小石原焼マルワ窯窯元の太田富隆氏の2名が登壇。グエン氏は、「学園のことを誇りに思い、未来に向かって自分の夢を叶えるために一生懸命頑張ってもらいたいと思います。自国と福岡、九州地域の懸け橋として、これからの人生において学んだことを生かして活躍することを期待しています」と述べた。太田氏は、「皆さまは進学、就職とそれぞれに道を歩むことになると思いますが、当学院で培った経験を生かし、乗り越えていくものと信じています。若さは人生をはぐくむエネルギー。何事に対しても自信をもって、全力で奮闘し、すばらしい人生を歩んでください。皆さまの今後の検討をお祈りしております」と祝辞を述べた。

 続いて行われた、在校生による送辞と、卒業生による答辞。送辞では在校生の男女2名が壇上に上がり、「先輩方からは、日本の生活のこと、学校のこと、アルバイトのことなど、親切に教えていただきました。これからは私たちが後輩を引っ張っていけるよう、頑張っていきます」「日本にきたばかりで戸惑う私に多くのことを教えてくれた。病気やけがをした時は色々手伝ってくれたり、いろいろなところに連れて行ってくれたり、とても楽しかった思い出です。先輩たちをお手本に、学生生活を歩んでいきます」と、流暢な日本語で力強く述べた。

 答辞では3名の卒業生が、「不幸にも私が事故に遭ってしまった時、異国からきた学生が私のことを心配し、色々助けてくれました。医者には手術しないと歩けなくなると言われ、このまま留学を続けるかどうか不安な気持ちを抱えていましたが、もう一度頑張ろうと思い、今日無事に卒業することができました」「2年間で経験したことは宝物。来た当初は日本語が分からず、アルバイト先で仕事の内容を間違えたり、遅刻したりすることもあった。バイトの先輩から怒られ、日本語ができない悔しさと時間を守ることの大切さを学び、頑張って日本語を学ぶ気になった」「バイト先で仕事に慣れない私に、先輩たちが怒鳴ったり、きつい言葉で注意されたりで、とても戸惑った。辛い時期を過ごしたこともあったが、励ましてくれる人たちのおかげで頑張れた」と、入学から卒業までのさまざまな思い出を語った。

 卒業生の入学時からこれまでのメモリアル動画が流れると、会場内は一転、静まり返ったが、懐かしい写真が映る度に、会場内では時折大きな歓声が。動画が終わると、1年前に卒業した卒業生有志によるダンスパフォーマンスが行われ、この日一番といっていいほど大いに盛り上がり、会場に大きな拍手と歓声が降り注いだ。クライマックスは、在校生による「365日の紙飛行機(AKB48)」、そして卒業生による「旅立ちの日に」。会場全体に響き渡る歌声が、見る者の心を揺り動かし、涙ぐむ学生も見られた。

 終了後は、会場の外で各々が写真撮影に興じていた。日本の学校でよく見かける厳かな卒業式とは違い、終始にぎやかで晴れやかさが感じられた当学院の卒業式。学生同士の絆と、それを支える教員の、厳しくも温かいまなざしが印象的だった。

【長谷川 大輔】

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