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2020年02月26日 09:30

「これでいいのか北九州市」発売記念~出版社のマイクロマガジン社を直撃取材(後)

 2月18日、(株)マイクロマガジン社(東京都中央区、武内静夫代表)の人気シリーズである地域批評シリーズ「これでいいのか北九州市」が発売された。同社が北九州市を取り上げるのは、今回で3回目となる。記者は発売を機に「これでいいのか北九州市」出版社を直撃取材。これまで何度も現地取材を重ね、北九州市変遷の様子を見てきたという、同社第一編集部部長・髙田泰治氏(福岡県筑紫野市出身)に話をうかがった。

きっかけはSDGs~北九州市のもつポテンシャルは「世界一」

 ――過去2回と比較すると、今回はまったく違う切り口で取り上げられています。

 髙田 きっかけはSDGs(持続可能な開発目標)でした。北九州市は2017年12月に第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞(自治体では北海道下川町と北九州市のみ)、18年4月にはOECDから「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定され、さらには同年6月には国から「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」に選定されるなど、日本はもとより世界から見ても注目が集まっていました。これをきっかけにSDGsについて調べてみると、これまで北九州市にとって負の部分として捉えていた部分が、実は新たなビジネスチャンスとなっていることに気付きました。

 本誌のトップには「始まる!北九州の反撃」と題し、かつての公害から生まれた環境技術を生かし、発電事業やリサイクル・リユース事業などがほかの自治体と比べて進んでいること、人口減という深刻な問題を抱えるなか、「住みやすさ」にも力を入れているほか、従来から外国人労働者を多く採用していたことが結果的に「多様性」を受け入れていること、高齢化が進んだことが逆に医療環境の充実が進み、「住みたい田舎ランキング1位」に選ばれていることなどを取り上げています。

 これ以外にも北九州市の持つ可能性について取り上げていますが、改めて取材をしてみて、そのポテンシャルは「世界一」かもしれないと思いました。

 ――今回現地を取材していて気づいたことなどは?

 髙田 今回取材して思ったのは、北九州市はほかの自治体と比べてサービス業が根付きにくい土地柄ではないかということです。取材を兼ねて市内のある飲食店に入ったのですが、その時の従業員の接客が不愛想というか素っ気なかったので、気になって調べてみたんです。北九州はもともとブルーカラーの仕事が多く、彼らのなかには気性の荒い人も相応にいます。彼らがひとたび飲み屋に集まり酒が入ると、やがてどんちゃん騒いだりすることは容易に想像がつきます。

 店側からすれば、良かれと思って愛想よく気前よく接客すると、彼らにしてみれば居心地が良いからまた来ようとなる。これが1回や2回ならまだしも毎回続くようだと、はたしてどうでしょうか。やがてほかのお客さまにも迷惑がかかるのは目に見えています。お店によって対応は異なると思いますが、余計な接客やサービスはしない。接客がそっけないというか不愛想になってしまうのは、そういう背景からなんだろうなと感じました。

「人が街を創っている」~そのきっかけにしたい

 ――発刊に寄せて、北九州市の方々に向けてメッセージを

 髙田 かつて北九州市は九州一の大都市で日本の高度経済成長を支えてきた自負があり、とくに60~70代以上の方はその傾向が強いようにお見受けしました。反面、その下の世代は市制発足後、負の側面ばかりを目の当たりにしてきたので、かつてと比較すると自分たちの街に対して自信をもてなくなってしまっているのではないでしょうか。

 北九州市のもつポテンシャルに目を向ける一方で、目の前にある課題はまだまだ山積みです。行政はもっと真剣かつ積極的に地域の課題に取り組まなければならないですし、市民も行政に対してもっと意見をいうべきだと思います。

 行政のリーダーシップは何だか消極的で物足りず、市民は行政に対して期待していないのか無関心なのか、あまり声を上げようとしていません。折角いいポテンシャルを秘めていることを取り上げても、市民の皆さまが自分たちが生まれ育った街に関心をもち、もっと真剣に考え取り組まなければ、このまま衰退の一途をたどるだけです。

 私たちはこれまで全国各地の自治体を訪ね、各地域の栄枯盛衰の様子をつぶさに見てきました。共通していえるのは、「人が街を創っている」ということ。そういう意味においては、今回この本を多くの市民の方に読んでいただき、そのきっかけとしてもらえたなら幸いです。

(了)
【聞き手/文:長谷川 大輔】

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