ダイバーシティのまち 住吉・美野島がたどってきた歴史(3)
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中世
3,000haの荘園保有、絶大な権力の筑前国一宮(つづき)中世以降の住吉神社は、「筑前国一宮」(現在の福岡県西部エリアのなかで、最も社格の高いとされる神社)としての位置づけにあったとされており、日本史の教科書などでお馴染みの元寇の様子を描いた鎌倉時代後期の絵巻物「蒙古襲来絵詞」のなかにも、住吉神社の朱塗りの鳥居が描かれている。なお、前出の「博多古図」に描かれているように、鎌倉時代のころまでは住吉神社のすぐ側まで海が迫っていたようで、現在のように住吉および美野島エリア一帯が陸地化されたのは、1587年に九州平定を成し遂げた豊臣秀吉による博多の町の復興・都市整備事業―いわゆる“太閤町割”のころだったようだ。
江戸期になると、初代福岡藩主となった黒田長政により、住吉神社の社殿が再建された。この社殿は「住吉造」と呼ばれる神社建築史上最古の特殊な建築様式でつくられ、国の重要文化財にも指定されており、現在までその姿を保っている。江戸期の住吉エリアについては、1812年に写された(原図は不明)とされる城下図「福岡城下町・博多・近隣古図」(九州大学附属図書館所蔵)のなかに「住吉」や「住吉村」の名の記載や説明はあるものの、博多の町や福岡城下と違って、詳細な地図は描かれていない。美野島エリアについては、当時は「蓑島」という地名で住吉村の枝郷(えだごう/元の村から分出した集落)の1つとして農村地帯が広がっていたとされるが、江戸後期になると、近隣の清川や那の川などとともに、住吉村に編入されたようだ。
美野島交差点では、LANDICグループによるカフェ併設の複合施設「L+(エルプラス)が開業を控える。谷尻誠氏・吉田愛氏が率いるサポーズデザインオフィスとLANDICグループがコラボした「暮らしの気付き」を体感できる複合施設となる予定だ。同社はL+で、「空間、食、暮らしにまつわるモノや情報との出会いを通して、あなたの暮らしをもっとここちよくするための、気付きや、刺激、ちょっとした感動を提供することを目指します」としている。
1993年設立のLANDICグループは、都市型コンセプトマンション「DEUX・RESIA(デュ・レジア)」や資産運用型マンション「LANDIC ADDRESS(ランディックアドレス)」シリーズなどのマンションブランドを展開し、福岡市内中心に67棟の供給実績がある。同社では、マンション開発で培ったまちづくりのノウハウを生かし、L+のほか、福岡市・
西中洲や糸島市でも宿泊もできる複合商業施設を計画中。「居心地のよい場所」の提供を続けていきたいという。
さらに、「コロナ禍で沈んだ福岡のまちを少しでも盛り上げられたら」(同社)という思いから、英国を拠点とする匿名アーティスト・バンクシーの作品展「LANDIC presentsバンクシー展 天才か反逆者か」への特別協賛を行うことを決定。バンクシー展は、7月2日から10月末まで「UNITEDLAB」(福岡市・大名)にて開催される。マンション開発などでデザインを重要視してきた同社ならではの取り組みだ。
(つづく)
【坂田 憲治】
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