2024年04月26日( 金 )

マッコリブームが再び到来(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 筆者が大学に通っていたころには、マッコリといえば、値段が安く、二日酔いになりやすく次の日には頭が痛くなるというイメージが強かった。マッコリはもともと農業を営む農民に愛されていたお酒だったが、私の大学時代、懐具合が悪い学生の間でもマッコリは愛されていた。韓国の名門私学の高麗大学では、新入生の歓迎パーティの際に、新入生にマッコリを飲ませる儀式があり、「マッコリ大学」とも呼ばれていた。

 このようなマッコリだが、最近見直されて、若い人を中心に消費が増えつつある。マッコリはまた日本に輸出されており、一時期は相当売れていた。2000年代後半から韓流ブームとともに日本で人気が出て、知名度が上がった。だが日本での販売は2011年にピークを迎えており、日本への輸出額は同年に603億ウォンであったが、その後の10年は一貫して減少しており、19年には238億ウォンにまで減少した。マッコリは賞味期限が短く、時間の経過とともに味が変わってしまうという制約があるため、市場規模(4,500億ウォン)は焼酎(2兆ウォン)やビール(3兆ウォン)などに比べると。このようにまだまだ小さい。

 しかし、昨年から韓国での消費が増えると同時に、輸出も少しずつ回復に転じている。今回はこのマッコリの最新動向を取り上げる。

マッコリとは

 韓国の伝統酒であるマッコリは大衆酒として庶民の間で親しまれていた。韓国語では「막걸리(マッコルリ)」といい、「マッ」は「粗雑に」「今すぐ」という意味であり、「コルリ」は「濾す」の名詞形であり、マッコルリは「粗く濾した酒」「濾したばかり酒」という意味のお酒である。米の糖分に由来するほのかな甘みがあり、飲みやすい。それに、乳酸菌が豊富に含まれていてヘルシーであり、韓国でも健康に気を遣う人々を中心に再び注目を集めている。

 マッコリの原材料は米などの穀物で、日本のどぶろくによく似ている。製造方法は、原材料を蒸してから乾燥させ、麹と水を加え発酵させたのち、固形物を簡単に濾すというもの。発酵が進まないように、酵母を加熱処理して滅菌するが、最近は技術の発達により滅菌処理を経ない「生マッコリ」もある。生マッコリは、時間の経過とともに、マッコリ内で発酵(熟成)が進み、味わいが深くなり、酵母が生み出す炭酸で酸味が強くなっていく。

 マッコリのもう1つの特徴は、製造から期間を置くほどに乳酸菌が減少していくということだ。近年、人々の健康に対する関心が強くなり、アルコール度数の強いお酒を敬遠する傾向があり、マッコリはのど越しがよく、軽く飲めることが再び注目を集めている理由のようだ。最大の輸出先は日本だが、日本以外にも米国、中国、豪州、ベトナムに輸出され、徐々に世界に広がっている。

 この10年。日本への輸出が減少を続けた理由として、日韓関係の冷え込みという政治的な理由がよく指摘されてきたが、原価を抑えるために、低価格の輸入米を原材料として使ったことで、味にうるさい日本の消費者からそっぽを向かれたという指摘もなされている。

(つづく)

(後)

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