2024年04月27日( 土 )

九州各県で大型開発進む、建設業界が直面する人手不足の現状

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CCUS活用により「見える化」

 技能者の現場における就業履歴や保有資格などを、技能者に配布するICカードを通じて、業界統一のルールでシステムに蓄積することにより、技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す「建設キャリアアップシステム」の構築に向けて、官民一体での取り組みが進んでいる。

 建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System/以下、CCUS)とは、建設業に関わる技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを登録・蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるためのシステムのこと。システム構築に向けては、国交省と(一社)日本建設業連合会をはじめとする官民で検討を進め、18年春から技能者・事業者の登録を開始し、19年1月から3月まで利用する現場を限った「限定運用」を実施。19年4月から本運用を開始した。21年1月には、国交省により外国人技能実習生のCCUS登録義務化が施行された。

 CCUSに登録されるのは、技能者の個人情報・保有資格・社会保険加入状況などであり、登録することにより技能者のスキルやキャリアをわかりやすく「見える化」することが可能となる。これにより技能者が働く現場に関わらず、適正な処遇を受けているかも判断できるという。下請は元請に対して技能者の技能・経験を具体的にアピールすることができるなど、事業者側にも導入のメリットがある。

 建設技能者の能力評価について国交省は、CCUSに蓄積される就業履歴や保有資格を活用した技能者の能力評価基準(35職種)を策定している。技能者の技能については、4段階評価(レベル1~4)を行う。たとえば、レベル4は登録基幹技能者、レベル3は課長クラスといったように、技能レベルに見合った評価や処遇の実現を図る。

建設技能者の能力評価(国土交通省)
建設技能者の能力評価(国土交通省)

 社会保険の加入状況確認にも活用される。20年10月から適用された「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、元請企業に対し、下請として社会保険未加入の事業者を選定しないよう要請するとともに、適切な社会保険に加入していることを確認できない作業員については、特段の理由がない限り現場入場を認めない取り扱いを求めている。その際、国交省は元請企業に対して、CCUSの活用を推進している。CCUSの登録時には、社会保険の加入証明書類等の提出が必須となっているため、より精度の高い状況確認をすることができる。元請企業は下請企業に対し、同システムの閲覧画面において作業員名簿を確認して保険加入状況の確認の実施を原則とした。CCUSを使用せずに社会保険の加入確認を行う場合は、社会保険に加入していることを証する関係資料のコピー(電子データ可)を提示させるほか、情報の真正性の確保に向けた取り組みが求められる。このことからも国交省は元請企業に対し、CCUS登録企業を下請企業とすることを推奨している。

 国土交通省によれば、CCUS登録者数は21年12月末時点で、技能者が前年同期の約55万人から79万1,678人、事業者が同約15万社から15万3,465社となっており、技能者の伸びが顕著に表れている。

【内山 義之】

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