2024年04月27日( 土 )

【九州鉄筋工事業団体連合会】顧客のためにも労務環境改善へ

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九州鉄筋工事業団体連合会
会長 宮村博良 氏
(福岡県鉄筋事業協同組合 理事長)

 九州全体での鉄筋事業者間の情報交換や関係性の構築・強化を担う九州鉄筋工事業団体連合会。鉄筋工事業界を取り巻く現状や課題、それに対する対策などについて、会長・宮村博良氏に話を聞いた。

届かない地方の声を集約・発信

 ──九州各県の鉄筋工事業協同組合をまとめる九州鉄筋工事業団体連合会(以下、九鉄連)ですが、主な役割や取り組みについて教えてください。

 宮村 まず、九鉄連の上部団体には(公社)全国鉄筋工事業協会(岩田正吾会長、以下、全鉄筋)があります。全鉄筋は、1965年に全国鉄筋業協同組合として建設省(現・国土交通省)から認可をいただき、86年に社団法人全国鉄筋工事業協会へと転じ、2012年には専門工事団体では初めて公益認定を受けました。

 全鉄筋の下、各県に鉄筋工事の団体が組織されるなかで、九州地区をまとめる組織として発足したのが、私たち九鉄連です。九鉄連では、枠にとらわれない関係性の構築・強化を図る目的で、九州全体での情報交換や組合間交流を行っています。これにより、各組合員がもつノウハウの共有、活用が進み、技能向上にも役立っています。

 九鉄連にとっての重要課題は、九州一円の鉄筋工事従事者の労務環境の改善です。私が4名程度の従業員を雇用して創業した当時は、組合員を見ると「組合に入っている大きな会社は、社員の労働環境や組織体制などきちんとしている。あのようになりたい」と目標にしていました。

 九鉄連組合員が鉄筋工事業者の目標とされるように、労務環境の改善を通じて底上げを図っていくことが、最優先事項だと考えています。また、各組合員の活動地域における問題や課題を拾い上げ、解決策を導き出すのも九鉄連の大きな役割の1つです。各現場の情報の集約や人員手配の窓口としての機能も九鉄連には求められているのです。

 また、九鉄連では全国の他ブロックに先駆けて、プロモーションDVDを作成しました。鉄筋工の実際の仕事がわかりやすいと非常に好評で、他ブロックの見本になっていると聞いています。

高層ビルを支える鉄筋工事業

 ──鉄筋工事の具体的な内容を教えていただけますか。

 宮村 「RC造」といわれる鉄筋コンクリート構造や、「SRC造」といわれる鉄骨と鉄筋コンクリートを併用した構造は、主にビルなどの高層建築物で用いられることが多いのですが、こういった鉄筋を使用する高層建築物工事を手がけるのが、私たち鉄筋工の仕事です。

 図面に従って加工した鉄筋が現場に搬入されてから、鉄筋工の仕事が始まります。加工済みの鉄筋を施工図に合わせて建築物に取り付けていくのですが、鉄筋の種類に応じて組み立てる順序が無数にあり、難しい作業のため、経験豊富な職人が指導しながら組み立てていきます。

 鉄筋と鉄筋を交差させて組み立てた箇所は、ハッカーと呼ばれる工具で結束線を使って縛りあげることで、かご状に編まれた鉄筋が組み込まれます。この作業は機械ではできないため、人の手によって行うしかありません。鉄筋工事は建物の「骨をつくる仕事」といえます。しっかりと結束することによって、建物を支える骨組みの強度が増し、安全性を高めることにつながるのです。

【内山 義之】


<プロフィール>
宮村 博良
(みやむら・ひろよし)
熊本県生まれ。19歳で鉄筋工業界に入職し、84年6月、鉄筋工事の請負施工を目的に創業。87年2月、(有)宮村鉄筋工業(現・(株)宮村鉄筋工業)を設立。2019年12月に九州鉄筋工事業団体連合会会長に就任。現在2期目を務める。

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