2022年06月28日( 火 )
by データ・マックス

【検証】山口FG取締役会議事録(1)

勇敢な内部告発

 山口フィナンシャルグループ(山口FG)の勇気ある社員の方から、NetIB-Newsへ告発文とともに吉村猛・前会長が解任された取締役会の議事録稿本が送付されてきた。あまりにも幼稚で強引な議事進行が行われており、とても上場している金融機関の取締役会とは思えない内容で、山口FGが当日の取締役会の内容をひた隠しにしている理由もよく分かる。

 誤字訂正前の稿本段階というのが実に生々しく、当日の様子が目の前で展開されているような錯覚すら覚える。これだけの機密資料を送付するのは、相当な葛藤があったことだろう。内部告発をされた山口FG社員の方に敬意を表したい。

 この稿本では、それぞれのはたした役割も明確にあぶり出されており、屁理屈と強権で押し通そうとする佃和夫氏(取締役監査等委員・社外)、法律家とは思えない無理筋な解釈を述べる国政道明氏(取締役監査等委員・社外)、それを積極的にサポートする福田進氏(取締役監査等委員・社内)という構図が読み取れる。そして、火事場泥棒のように吉村氏を裏切る椋梨敬介氏(代表取締役社長)の姑息な姿も滑稽である。どうやら、山口FGの混乱は優秀な経営陣(社外取締役を含む役員)に恵まれなかったことも大きな原因のようだ。

 この日の取締役会では、感情的で強引なクーデター側に対して、吉村氏の述べていることは理路整然としており一貫している。吉村氏のスキャンダルは大いに問題があり、NetIB-Newsの意見は告発文とは異なるが、この日の取締役会のやり取りに関しては吉村氏に理があるといえよう。これはもっと早く世に出るべきものであった。一部マスコミは入手していたようだが、全文を公開しなかったことは悔やまれる。吉村氏が取締役を辞任するまでに明るみになっていれば、現経営陣の責任が問われたかもしれない。否、今からでも責任を問うべきものだ。一介のネットメディアに訴訟を持ち出して沈黙させようとしたのは、このような後ろめたい事実が世に知られることを恐れたためではないか。NetIB-Newsでは、この稿本を検証していくこととする(稿本には誤字脱字があるが、原文のまま引用している)。

調査報告書の欺瞞

 この取締役会の議事録によって、重要なことが判明した。それは、山口FGが吉村氏に関して公表した調査報告書には虚偽が記載されていたということである。

 吉村氏に関しては2回にわたって調査報告書が作成されており、その内容への疑問点はNetIB-Newsでも特集として掲載を行った(検証・山口FG『調査報告書』)。調査報告書は2021年10月14日に公表されているが、各々の作成日は7月26日と9月30日となっている。7月のものには記載のなかったアイフルとの新銀行構想だが、唐突に9月の報告書で問題視されている。これに関し、山口FGは調査の過程で発覚したため追加調査を行ったと説明していたのだが、取締役会の議事録から虚偽であることが判明した。この日の取締役会ではアイフル、新銀行、富樫氏(オリバー・ワイマン元日本代表・富樫直記)といった言葉が何度も登場し、2020年11月から検討が行われていたような記述もある。この時すでに概要は判明していたはずだが、7月の報告書では触れられず、9月に別の報告書での記載となっている。

 また、会長解任という重大なことを決議しておきながら、その理由は不明確である。後に9月の調査報告書で吉村氏の経営者としての資質を問うているのだが、そのような議論が十分に行われた形跡がない。この日の取締役会では、解任の理由を問う吉村氏を佃氏、国政氏、福田氏が遮る場面が何度も出てくる。つまり、取締役会では議論を避け、会長を解任した後に取って付けたように調査報告書で解任理由を記載しているのである。あまりにも不自然だ。

 このような不審点がある以上、山口FGの調査報告書に信頼性はない。調査を行った(というよりも実質的な名義貸しを行っただけであろう)弁護士にも責任があるといえよう。山口FGは、NetIB-Newsの検証記事には誤りがある、NetIB-Newsに対して法的措置を検討する、とまで言っていたのだが、虚偽で塗り固めていたのは山口FGであったということだ。

臨時取締役会議事録稿本

(つづく)

【特別取材班】

(2)

関連キーワード

関連記事