2024年04月15日( 月 )

「建物」「人」「財産」を守る防水工事業

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さらなる教育環境充実を図り、若手職人の育成へ

 ──職人不足が進むなか、全防協としての対応策などはいかがですか。

 津上 全防協のホームページでは、国土交通省や総務省、厚生労働省などからの通達や建設事業主などに対する助成金についてのお知らせなどを紹介しています。また、社会保険未加入問題への対策や、建設キャリアアップシステム(CCUS)導入など、国の施策に沿ったかたちでの実践も進めています。おかげさまで当支部では、ほとんどの会員企業が社会保険に加入しております。しかし、CCUSについては82社中49社の登録にとどまっており、早急の登録をお願いしているところです。

(一社)全国防水工事業協会 九州沖縄支部 支部長 津上 和由 氏
(一社)全国防水工事業協会 九州沖縄支部
支部長 津上 和由 氏

    若手職人の増加を図るためには、教育環境が大事でしょう。福岡では、建専連が福岡経営者労働福祉協会に委託する新入社員向け職業訓練などが実施されています。これは躯体職の人たち中心で残念ながら我々は対象になりませんが、熊本には熊本市技術専門学院という教育機関があります。ここでは専門技術職に合わせた6科7コースが設けられており、実技では左官、鉄筋、型枠、防水などの指導が行われています。講師の職業訓練指導員は、各専門コースにおける国家検定1級技能士を有しているので、きめ細かな指導により、資格取得のバックアップがなされております。

 それから週休二日制の問題もあります。私たち防水工事業者は、ほかのどの職種よりも天候に左右されます。雨が降るとまったく仕事ができません。とくに梅雨の時期などは作業が1週間できないこともあり、その間は休みを余儀なくされます。そうした場合には、週ごとではなく、長いスパンでの休日取得設定ができるように、国にも考えていただきたいところです。

資材価格高騰が響くも、技能検定受験者増加で明るい兆し

シーリング
シーリング

    ──現在、業界として抱えている問題、課題についてお聞かせください。

 津上 大きな問題としては、資材価格の高騰ですね。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて値上がりしたところに、ロシアのウクライナ侵攻でさらに値上がりしています。施工スケジュール全体のなかで、我々防水工事業者の出番は後半になるため、契約後、実際の施工時には値上がりしているケースも増えてきました。増額交渉は難しく、利益率の低下は免れないのが現状です。我々の仕事というのは半分以上が材料代ですし、ほとんどが石油製品のため、大きな影響を受けています。ロシア、ウクライナの情勢はいまだ先が見通せません。材料価格の増加分をどのようにして転嫁あるいは吸収などの処理をしていくか、つかみきれていないのが現状です。

 それでも明るい兆しはあります。厚生労働省が職種を定め、各都道府県で実施されている国家資格である「技能検定」というものがあります。全130職種あり防水施工も該当しているのですが、受験申請者数で見ると2015年度は4,127名でしたが、15年以降は毎年増加し19年度は5,769名でした。20年度はコロナ禍の影響で全体的に前年割れしていますが、防水に携わろうとする人は増えており、入職者は増加につながると期待しています。

 ──若手職人の育成および入職者を増やしていかなければなりません。

 津上 そうですね。今の高校生たちが建設業を目指すかどうか、たとえ建設業に興味が湧いても、ゼネコンを志向する流れが従前としてあります。そこを専門工事業に目を向けてもらわなければなりません。さらには、専門工事業のなかでも、鳶や大工、型枠などさまざまな職種があり、防水に目を向けてくれる人は多くはありません。冒頭にお話しさせていただきましたように、防水工事業は雨風から「建物」「人」「財産」を守る重要な仕事です。このことをいかにアピールしていくかが、大事になります。

 協会として社会保険の加入など労働環境整備を進めるとともに、資格取得などの教育制度を充実させることで、安心して勤めていただくことができるようになると思います。建専連や国土交通省、各都道府県の担当部署と協力しながら、引き続き全防協・九州沖縄支部として取り組んでまいります。

(了)

【内山 義之】


<プロフィール>
津上 和由
(つがみ・かずよし)
1954年3月生まれ。78年3月山口大学経済学部卒業後、同年4月より住友不動産(株)に入社。80年4月に津上産業(株)に入社し、2年間、中村瀝青工業(株)に出向。94年11月、津上産業(株)代表取締役に就任。2008年に(一社)全国防水工事業協会九州沖縄支部長に就任。 

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