2024年04月27日( 土 )

襟を正せ!人生を賭けた野球を賭博にした読売巨人軍

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 またしてもプロ野球界に激震が走った。

baseball 読売巨人は3月8日、東京・大手町の読売新聞本社で会見を開き、高木京介選手(26)が野球賭博に関与していたことを発表した。NPB(日本野球機構)の熊崎勝彦コミッショナーに告発する意向。同時に、白石興二郎オーナー、桃井恒和会長、渡辺恒雄最高顧問が引責辞任することを発表した。昨年11月に読売巨人は、野球賭博に関与した福田聡志氏、笠原将生氏、松本竜也氏の契約を解除。3人はNPBから無期失格処分を受けた。

 一連の問題を受けて、球界の今後を憂慮するあるプロ野球OBは、取材に対し、次のように語っている。

 「関係者の話を総括すると、高木君は、良心がとがめて名乗り出たということです。しかしなぜ、昨年11月に福田、笠原、松本の3名が告発されたときに、名乗り出なかったのか。残念です。2月にNPBが球団を回り、再発防止のための研修を実施しています。高木君も、その研修を受けていました。要するに嘘をついていたのです。今回の件で、読売巨人軍はもとよりプロ野球界全体の信頼が損なわれています。ファンの皆さんは、『やっぱり出てきた』『人々に夢と希望を届ける仕事が、これでは応援できない』などという気持ちで一杯でしょう。正直、この野球賭博問題は終わりが見えません。これ以上出てこないことを祈るしかありませんが、それもまったくわかりません。他球団にもいるのかと、ファンの皆さんが疑念を強くするでしょう。私は、野球選手が野球賭博をすることがまったく理解できません。自分の職業を博打の対象にすること自体、人としてのモラルに反することであると認識しています。野球という職業に人生を賭けて日々戦っているのに、それ以上何を賭けるのかと言いたい」。

 また、球界裏事情に詳しいアナリストは、「2011年11月、当時球団代表・GMであった清武英利氏が解任された。清武氏にも諸問題があったであろうが、驕り高ぶった球団フロントの体たらく、その姿勢が現場の監督・コーチや選手にも伝播していたことは明らかだ。12年の日本一の後も相応の成績を残しているが、育成面で球団としての綿密な戦略は見られなかった。それが福岡ソフトバンクホークスに勝てない理由であり、今回の賭博問題にもつながった。今期も良くてリーグ3位だろう」と断じる。

 また、一連の野球賭博問題は、NPBおよび球団による調査の限界を露呈した。全容の解明のためには、もはや警察の捜査に委ねることも選択肢に入れなければならないかもしれない。そもそも今回の野球賭博は、刑法第185条「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない」に抵触する犯罪の可能性が高い。

 日本プロ野球界に現存する最古の球団である読売巨人軍は、川上哲治氏、王貞治氏、長嶋茂雄氏、金田正一氏、そして江川卓氏、松井秀喜氏など名を挙げたら霧がないほど、幾多の名選手を輩出し、球界の発展に大きく貢献してきた。しかし、かつての「球界の盟主」という俗称も今となっては過去のこと。大きく失墜した信頼を取り戻すには、まず、全選手が、グラウンドで汗と泥にまみれ、常に全力プレーすることだ。一切のプライドを捨て去り、野球に打ち込むことである。

【河原 清明】

 

関連キーワード

関連記事