2024年04月27日( 土 )

現場の声を聞け!「障がい者雇用」水増し問題を考える(3)

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 障がい者雇用を促進する側にある、中央省庁の障がい者雇用水増し問題。8月28日、厚生労働省が公表した調査結果では約8割の中央省庁で「水増し」などが確認された。障がい者支援の名の下、なぜ平然と偽りの数がカウントされていたのか。この問題に対する現場の声を拾った。いずれも福岡県内で障がい者の就労支援を行う方々の声である。

アメリカは14%だ

 厚労省は、数字を明確にし、調査して現状を明らかにして公表するだけではなく、障がい者雇用推進法の目的が遂行されるような体制を整えて貰いたい。今となっては無意味な数字だが、私がこの問題の発覚以前に社員研修で話していた厚労省発表の「平成29年障がい者雇用状況の集計結果」の内容は以下の通り。

【民間企業】(法定雇用率 2.0%)
○雇用障がい者数、実雇用率ともに過去最高を更新。
・雇用障がい者数は 49 万 5,795人、対前年 4.5%(21,421人)増加
・実雇用率 1.97%  (法定雇用率達成企業の割合は 50%) 

【公的機関】(同 2.3%、都道府県などの教育委員会は 2.2%)
○雇用障がい者数および実雇用率のいずれも対前年で上回る。
・国 :雇用障がい者数 7,593人 実雇用率 2.50% 
・都 道 府 県:雇用障がい者数 8,633人 実雇用率 2.65%
・市 町 村:雇用障がい者数 26,412人 実雇用率 2.44%
・教育委員会:雇用障がい者数 14,644人 実雇用率 2.22%

【独立行政法人など】(同 2.3%)
○雇用障がい者数および実雇用率のいずれも対前年で上回る。
・雇用障がい者数 10,276人 実雇用率 2.40%

 私はこの数字に疑問がある。行政が障がい者雇用にまったく積極的ではない。そもそも行政と民間企業の法廷雇用率にあまり差がないのもおかしい。また公的機関は決められた雇用率ギリギリで達成しているのも、単に規則なので0.1%でも超えれば良いという考え方をしていると推察できる。本当に理解している、理解しようとしているなら、行政こそアメリカを見習って連邦政府の「障がい者雇用 職員全体の14%」を見習うべきだ。

明日、障害をもつようになるかもしれないのに

 行政機関による障がい者の雇用が少ないのは、「障がい者雇用が大変だ」と思っているからだ。適材適所、業務の細分化、役割分担を常に考え、サポートしながら障がい者雇用を行っているA型事業所や、一般就労を目指す障がい者の訓練や就職のサポートを行う移行支援事業所。どれだけ凄いことをしているのか?もっと評価してくれてもいいんじゃないの?大変そうで、できればあまりかかわりたくないという思いや意識、理解の無さが雇用率未達成の現状じゃないのか。いつ自分が障がいをもつかはわからない。明日かもしれないのに。 

障がい者は立派な戦力になる

 指導する立場にある国が、こういう不正を平気で行うなんて、障がい者が役に立たないと思っているのだろう。とんでもない話だ。障がいに合わせて仕事を提供すれば、障がい者は立派な戦力になる。当協会の事業は、障がい者の人たちによって成り立っている。こういう事業所についてもっと勉強すれば、いろいろな活用法がわかる。障がい者を無用扱いにするのではなく、良いところを見出して社会の一員として普通に暮らせるようにすべきだ。そうすれば、障がい者が特別扱いされることなく、役に立つ人材の一人として社会の一員になることができる。

(了)
【東城 洋平】

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