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2018年11月07日 14:46

【温泉と健康】日本が誇る温泉資源を健康増進に活用、入浴文化を世界に発信(前)

温泉家 北出 恭子 氏

 資源の少ない日本で、世界に誇れる資源の1つに温泉がある。国内には3万とも4万ともいわれる膨大な数の源泉がある。「健康寿命の延伸」を掲げる政府も、高齢者の健康づくりに温泉の活用を模索し始めた。ただ、温泉と一口に言っても泉質や効能はさまざま。そのナビゲーター役として、今注目を集めているのが“温泉家”を自称する北出恭子氏。メディアで活躍する温泉タレントでありながら、温泉ソムリエ、水・温泉ORP評価アドバイザー、温泉入浴指導員など12の資格をもつ異色の存在だ。温泉専門ライター、温泉プロデューサーでもある北出氏に、温泉業界の問題点や温泉選びのコツ、健康づくりのための温泉活用法などを聞いた。

 ――タレント活動をしながら、温泉に関する執筆活動や講演活動など、忙しい毎日を送られていますが、そもそも温泉にハマったきっかけは?

温泉家 北出 恭子 氏

 北出 私は18歳のころから福岡を拠点にタレント活動を行っていました。テレビ・ラジオ番組のMCやリポーター、CM・ドラマの出演、司会者など、マルチタレントとして活動していました。ところが2011年3月の東日本大震災で、テレビの娯楽番組やイベントが自粛となりました。5月いっぱいまでスケジュールが入っていましたが、すべてキャンセルとなり、仕事がなくなってしまったのです。そんな時に、たまたま行った温泉入浴施設で、温泉ソムリエの資格試験を知らせるポスターを目にしました。時間をもて余していたので、すぐに受講することにしました。

 それまでは、泉質に種類があることや、効能に違いがあることも知らず、どこの温泉もそんなに違いはないと思っていましたが、いろいろ勉強していくと、目から鱗で「温泉ってこんなに奥深いものなんだ」ということを知りました。そして、自分で体験してみたいとの思いが募り、湯めぐりの旅に出ることにしたのです。当時は仕事がなく、お金もなかったので、貯金を取り崩して、車に寝泊まりしながら九州全域の温泉をめぐりました。

 自粛ムードが落ち着き、タレント業に復活してからも、機会あるごとに湯めぐりの体験を紹介していました。そんな時に当時レギュラー出演していた番組のなかで「温泉コーナーをやらないか」とお誘いがあり、温泉ソムリエで学んだ知識や体験談を話したところ好評で、さまざまなメディア出演依頼や雑誌の執筆依頼が舞い込んでくるようになったのです。

 この間、温泉ソムリエのほかに温泉マイスター、温泉ソムリエビューティー&ダイエットなど、温泉関連の資格を12個取得しており、現在は「温泉家」という肩書きで活動しています。TOSテレビ大分「おんせん県に、きたで〜」やKKTくまもと県民テレビ「北出温泉」というコーナーもあり、日テレ、TBS、テレビ東京などのキー局にも出演させていただいております。ほかにも、旅行誌や観光情報誌などへの連載コラムの執筆、イベントでのトークショー、企業の顧客や従業員向けに健康増進のための温泉セミナー、観光関連会社や温泉事業者向けの講演活動などを通じて、日本の温泉の魅力や正しい入浴方法を発信しています。

 ――“温泉家”として日ごろはどのような活動をされているのでしょうか。また、スプリングラボの業務内容についてもお聞かせください。

 北出 弊社では、温泉旅館やホテルなどのコンサルタント業務やプロモーション業務を中心に、泉質調査や温泉掘削などといった温泉にまつわる案件に対しての代理店業務も行っています。ほかにも行政や自治体などの温泉を軸とした温泉地全体の監修やプロモーション、温浴施設のプロデュースや開発コンサルティングなどを手がけています。最近では山口県と大分県両県の温泉に関する監修もさせていただいています。

 日本温泉気候物理医学会、日本温泉科学会など、いくつかの学会にも所属していますが、難しい専門知識を一般の方にもわかりやすいように咀嚼してお伝えするのも私の役目です。また、私の仕事はワインのソムリエと同じで資格を取ったら終わりではなく、わずかな温泉成分の違いを五感で感じ取り温泉分析データと照らし合わせながら研究し、経験値と技術力を身に着けていかなければなりません。たとえば、ワインソムリエは、五感を研ぎ澄まして、気温や湿度までを考慮したうえで、お客さまにワインを提供していますが、温泉もこれと同じで、1つひとつ違う温泉を見極めて適切な温泉資源利用の方法やPR方法などをご提案します。そのために私は1年間に国内外300カ所以上の温泉をめぐっています。4泊5日で50カ所以上の温泉に入ることもありますし、35時間歩き続けて登山しなければたどり着けない秘湯へ行くこともあります。温泉は1つとして同じものは存在しません。泉質やpHも違いますし、浴感や鮮度も違います。ワインと一緒で味や香りも違います。それを五感で見極めながら評価して、その結果をデータベースに蓄積しているところです。これまでに1,500カ所以上の温泉情報をデータ化しています。

(つづく)
【取材・文・構成:吉村 敏】

<プロフィール>
北出 恭子(きたで・きょうこ)

18歳からフリーランスで、数々のテレビ・ラジオ番組でMCに抜擢。CM出演やドラマ・映画出演、モデルやCMソングを歌うなど多方面で活躍。現在は東京を拠点に、温泉タレントとして各局でレギュラー出演中。その傍ら、日本や海外の温泉をめぐり、年間入湯数は300以上。温泉入浴指導員、温泉マイスター、水・温泉ORP評価アドバイザーなど、多数の温泉関連資格を有する。根っからの温泉好きで、その知識と経験を生かし、全国での温泉セミナー講師やイベント出演を始め、女性目線での温泉プロデューサーとして、温浴施設の監修や行政・自治体の地方創生をサポート。肩書きは「温泉家」であり、スプリングラボ合同会社CEOを務める。書籍「九州絶品温泉 ドコ行こ?」。
所属学会など/日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本温泉地域学会会員、日本ヘルスツーリズム振興機構会員、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)“Yu-navi”プロジェクトメンバー、九州温泉道選定委員、山口県観光審議委員など。

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