2024年04月26日( 金 )

福岡市は職員好待遇にメスを入れ、若い人への支援に本腰を入れるべき(前)

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福岡市議会議員 高山 博光 氏

 高山博光氏は福岡市議会議員当選11回、議員歴約40年の現役最古参であり、現在も精力的に現地に足を運び政治活動を行っている。福岡市の政策的課題、高島市政について高山氏に話をうかがった。

福岡市「官僚天国」の解体を

 ――ご経歴についてお聞かせください。

 高山博光氏(以下、高山) 1979年に初当選し、自民党で活動していましたが、私の政治理念は自民党より右であり、会派を離脱して無所属で活動しています。維新の会と理念が一致すると思い、連携していたこともありますが、橋下徹氏の引退後は再び独自に活動しています。

 ――高島(宗一郎市長)市政をどう評価されていますか。

高山 博光 氏

 高山 福岡市職員の待遇を見ていると、日本においてもドイツのような官僚天国が完成したと思います。「公務員の給与は民間に準ずる」と法律で定められていますが、福岡市役所職員約9,000人(教員除く)の平均賃金は年間657万円であり、民間と比べて突出しています。また、過去3年間の平均出勤日は222日であり、休日143日、単純計算で週休2.7日です。有休休暇、特別休暇を含めるにしても、福岡市の企業の4分の3は中小企業であり、民間の休暇実態の正確なデータは手元にないのですが、官民で大きな差があると思います。

 市役所職員は真面目ですが、民間の厳しさをもっと理解すべきです。地域の商店街の多くの店舗が閉店しており、私の地元の城南区別府1丁目の商店街では、約30店舗のうち、私が若いころから営業を続けている店舗は八百屋と電器店の2店のみです。八百屋は夫婦が平日、土曜は24時まで仕事をしていて、日曜も配達をしています。公務員と異なり、個人事業主が生き残るには大変な努力が必要ということです。博多区の美野島商店街なども懐古的な商店街となっています。

 福岡市の財政について、市長は市債を減らしたと強調していますが、これは地下鉄、都市高の建設、港湾整備などの大型投資が一段落し、そのおかげで固定資産税などが増え歳入が増えたことによるものであり、以前の市長の果敢な行政の成果による遺産というべきものです。福岡市は今なお約2兆円の負債を抱えています。

 市長が進めていた「カワイイ区」、中国人国家公務員を5年で4,000人招待しての研修計画のほか、小中学校における中国食材37品目使用(2014年時点)について、その有効性、問題性に疑念を表明し、止めさせました。

 16年の地下鉄七隈線延伸工事における博多駅前道路の陥没は、施工の半年前に技術審査委員会の専門家が地質の問題性と陥没の可能性について警告を発していたにもかかわらず、福岡市が対策を怠ったため招いた事故です。市長は日本地下鉄協会会長でもあり、陥没に対して責任を有するはずなのですが、会長職をお辞めになっていません。

 最近の博多区新庁舎の整備事業にも疑問を抱いています。設計、施工が一体となった入札で、仕様が決められておらず、低廉な資材でコストを抑えることもできてしまいます。大成建設(株)を代表とするグループが約63億円で落札していますが、同社はそもそも陥没事故の現場の施工会社であり、同社が同事故について終始黙したまま復旧作業を行ったことへの御礼ではないでしょうか。5年の工期としているので、設計は設計業者に依頼し、施工は分けて入札をかけるべきであったと思います。

 私はこの疑問について議会で遠慮なく発言を続けてきました。しかし、昨年4月の市議会議員選挙において、市長陣営は市役所の部長夫人を出馬させ、私の選挙事務所の50m先に事務所を構え、「高山落とし」を計ってきました。市長は市役所内でも異なる意見を言う職員を中枢から外しているように思えます。
 市長のこのような敵をつくる手法は好ましくないと思います。市長は現在3期目ですが、3期目というのは、長年地位にいて油断が出てきやすいころですので、今後もしっかりとチェックしていきます。

(つづく)

【茅野 雅弘】


<プロフィール>
高山 博光(たかやま・ひろみつ)

1940年生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒、79年、福岡市議会議員に初当選し、現在11期目。今期は議会で総務財政委員会、都市問題等調査特別委員会に所属。
URL:http://takayama-jp.com

(後)

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