• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年06月18日 14:07

予防医学のエキスパートが勧める免疫力をサポートする食材とは(前)

海風診療所 沼田 光生 氏

 今年は新型ウイルスによる感染症の影響が続き、治療法が確率されていないなか、これまで以上に予防対策が注目されている。なかでも医療・栄養関係者や各メディアが大きく紹介しているのが免疫力の維持・増進。今回、医療の面からどのような食品が免疫に寄与するのか。食を通じた栄養補給による予防医学を推進する、海風診療所の沼田光生氏に話を聞いた。

 ――沼田先生は予防医学の推進をされるなかで免疫力の維持・増進の必要性を唱えられています。まず、免疫とはどのようなものなのかご説明いただけませんでしょうか。

海風診療所 院長 沼田 光生 氏

 沼田 免疫とは体内に入ってくる細菌やウイルスなど病原菌の攻撃に対する抑制・撃退する力であり、生まれながら体内に備わっています。しかし体調の変化により免疫力が低下すればそれだけ病気になるリスクは高まります。とくにウイルス関連の疾病になりやすくなります。現状、治療法や特効薬が明確にされているわけではなく、これまで以上に日頃から免疫力を常に高めていかなくてはなりません。

 ――免疫を高めるにはどのような方法があるのですか。

 沼田 免疫力を高めるには、「食事」「睡眠」「体温」がキーワードになります。
 「食事」は食物に含まれる栄養成分には免疫力を高めるものが数多くありますので、それを積極的に摂り入れることです。

 「睡眠」においては、人は眠ることで体内バランスを維持し、体の充電や整備を行います。睡眠不足では免疫力が低下します。そのため、睡眠時間を7時間以上は確保していただきたいですが、現代人はなかなか寝る時間が取れない方が多いので、睡眠の質を上げる必要があります。就寝する少し前に入浴をしたり、温まる飲み物、たとえばショウガや高麗人参のお茶などを飲んだりして、深部体温を上げてから就寝していただくことを勧めています。体温が下がっていく過程で眠りに入ることが、質の良い睡眠へつながると言われています。

 「体温」についてですが、免疫細胞は血液のなかにも存在していて、基礎体温が低いと血行が悪くなり、免疫力も低下しています。これではウイルスが入ってきてもすぐに対応できません。免疫力が正常に保たれる体温は36.5℃以上が好ましいとされており、体温が1℃下がれば免疫力のパフォーマンスが最大30%低下し、反対に1℃上がれば2倍以上アップするといわれています。現代人は生活習慣の変化もあるのか低体温傾向にありますので、免疫力が低下する一因となっています。「食事」「睡眠」「体温」はすべて免疫力をつけることにつながっていて、どれも大事です。

 ――お聞きしたなかで、免疫力を高めるために食事も重要なポイントとのことですが、どのような食品が良いのでしょうか。

 沼田 人の免疫細胞の約7割は腸内に存在しています。ウイルス感染を防ぐため、腸上皮に何層もの生体防御機能(バリアー機能)が備わっているのが腸管免疫と呼ばれるもので、腸内環境を整え、免疫機能を高めておくことが免疫力を上げることにつながります。その作用が期待できる食品として、ヨーグルト、キムチ、ぬか漬け、酢といった発酵食品が挙げられます。

 成分で具体的に挙げますと、まず乳酸菌ですね。善玉菌ともいわれ、アミノ酸やビタミンB群を含み、免疫機能が働くための必須成分として消費者の皆さまの認知度も高いと思います。最近では免疫の活性作用が明らかにされ、抗ウイルスをはじめさまざまな疾病への予防・効果の研究データが発表されています。

 ――乳酸菌は免疫をつくる成分というのはテレビCMでよく見かけますね。ところで、伝統食材などで良いものはありますか。

 沼田 ニンニクは古くから免疫力、滋養強壮、冷え性改善などで知られる伝統食材ですね。とくに高温多湿の環境で熟成された黒ニンニクが良いとされ、ビタミンB 1をもつスコルジニンが含まれています。最近では睡眠障害、抗ストレス、動脈硬化、歯肉炎、がん予防・抑制などの作用が臨床試験で確認されており、海外でも多機能を有する食材として認知されています。

 またエゴマやアマニなども挙げられます。両食材から抽出された油には、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が含まれています。オメガ3は人間が体内でつくることができない不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)を含み、免疫、アレルギー・抗炎症、動脈硬化などにおいて有効な研究データが揃っています。

 同様に古くから食されているものではキノコやモズク関連も良いです。キノコ類は腸内の働きを良くするビタミン・ミネラル以外にも、有効成分「β‐グルカン」が腸の免疫細胞の活性化に寄与し、免疫力を高める効果をもつことが確認されています。

 海藻のアカモクは医療現場でも使われる免疫のスーパーフードとして食物繊維が豊富ですが、ワカメとの比較でカリウムは1.6倍、鉄分は5.2倍、カルシウムも1.2倍の高い栄養価をもつと言われています。有効成分である多糖類「フコイダン」は、免疫力を高めるということで医療現場でも多く採用されています。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年08月14日 07:00

コロナ禍で苦境となったカプセルホテル、ナインアワーズが再生へ(前)

 「今年の春、カプセルホテルやビジネスホテル、民泊などの宿泊特化型施設の売上は昨年同月比で10%以下にとどまったところが多かった。ナインアワーズでは、カプセル内UV照...

2020年08月14日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(中)

 この状況を打破すべく、2017年から大阪市水道局は、当初の5年間で耐震性の低い鋳鉄管を集中的に更新した後、次の5年間でペースを倍化し、古いダクタイル鋳鉄管を更新する...

2020年08月14日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(3)

 基本計画のもう1つの目玉が、都市再生事業(雲井通5丁目再開発)として進めるバスターミナルビルの建設だ...

2020年08月13日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(前)

 大阪市水道局は、配水管の耐震化促進のため、2018年12月に成立した改正水道法に基づく「コンセッション方式(※)」による管路更新(耐震管への取替え)事業を進めている...

2020年08月13日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(2)

 15年、神戸市はようやく重い腰を上げた。同年、三宮駅周辺地区の再整備基本構想を策定し、18年には構想に基づいて『神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画』をとりまとめ、駅...

2020年08月13日 07:00

オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(4)

 今年5月末に「ダイキョーバリュー大橋店」が閉店したほか、6月10日には「ニューヨークストア大橋店」が閉店。エリア内から一気に2店のスーパーが姿を消した。その一方で...

2020年08月12日 17:00

【スクープ】西日本新聞のスポーツ本部長がセクハラで処分 TNC「CUBE」にも出演

 西日本新聞社の「下半身」不祥事が止まらない。既報の通り、7月に社内不倫に絡む事案で記者2人が懲戒解雇されたのに続き、8月に入ってすぐに、報道番組でコメンテーターも務...

2020年08月12日 16:41

シノケンとTATERUが中間決算 不動産販売はいずれも減少

 12日、シノケングループ(東証ジャスダック)およびTATERU(東証一部)は、2020年12月期の中間決算を発表した...

2020年08月12日 16:36

ホークス柳田が月間MVP~6度目の受賞

 6、7月度の「大樹生命月間MVP賞」が12日に発表され、パ・リーグ野手部門で福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手が2018年5月度以来、6度目のMVPを受賞した...

2020年08月12日 15:48

「新型コロナ」後の世界~健康・経済危機から国際政治の危機へ!(1)

 東京大学大学院教授の小原雅博氏は近著『コロナの衝撃―感染爆発で世界はどうなる?』で「危機はこれまでは、国家や民族意識を高めてきたが、今の私たちは監視社会でない自由で...

pagetop