2024年04月26日( 金 )

“設計思考”で構想する唐人町の未来図、焼き芋できる「立体キャンプ場」案(前)

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こども病院跡地の活用方法、有力は許容力の高い目的施設

敷地 こども病院跡地(出典:福岡市住宅都市局)
敷地 こども病院跡地(出典:福岡市住宅都市局)

 福岡市立こども病院は現在、東区のアイランドシティへ移転完了し、跡地の利用方針として医療・教育施設という話も出ているが、まだ完全には決まっていない。土地面積1万7,000m2余りの平地で、用途地域としては「第一種住居地域」と「第二種住居地域」の混合だ。その他規制としていろいろ(容積率200%、建蔽率60%、準防火地域、第二種20m高度地区、航空法高さ規制など)あるが、使い道をずっと模索し続けて空き地となっていたこの遊休地も、ようやく行政が活用に向けて動き出すようだ。

 この場所の文脈を読み解くと、こんな見え方ができる――周囲には地元の学校に通う子どもたちを有する子育て世代をはじめ、代々受け継いできた土地を守る地主世帯、新旧に入れ替わりのある独身世代や単身学生など、住居側にウェイトを置かれた都市構造である。しかも、バラエティに富んだ年齢層、幅のある多種多様な人々が生活している。また、イベント興行地の近くとあって、外からのゲストの交通地点でもあり、内外に問わずまた滞在時間の長短や濃淡に関わらず、人々の趣向や境遇や状況を包括的に受け入れられる許容力の高い目的施設が有効ではないかと考えられる。

 兼ねてから筆者が熱望する「機能転用の自由化」のもと、今回はこの場所の用途地域をあえて外して考えてみたいと思う。“あったらいいな”という単純な妄想から考えることで、旧態依然とした建築プログラムを触発し、本来あるべき必要なかたちへの誘引がなされることを期待するものだ(筆者はこれを“設計思考”と呼んでいる)。


<プロフィール>
松岡 秀樹
(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
松岡 秀樹 氏1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。

(後)

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