2024年04月27日( 土 )

障害者雇用者数改竄が示す安倍政治の冷酷さ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。
 今回は障害者に対する冷酷かつ卑劣な安倍内閣の対応を糾弾した8月23日付の記事を紹介する。


この国の政治のデタラメがまた1つ発覚した。総務省や農林水産省など複数の省庁で、法律で義務づけられた障害者の雇用割合を過大に算出して、「水増し」していた疑いが濃厚になっている。
厚生労働省の指針が定めている、障害者手帳や医師の診断書などによる確認を行わず、対象外の人を「障害者の雇用」として算入していた可能性がある。またしても明らかになる「政府のウソ」である。
一定割合以上の障害者の雇用を求める障害者雇用率の制度は1960年に国や自治体を対象に障害者雇用促進法として創設された。これが1976年に民間企業にも義務づけられた。心身に何らかの障害をもつ人たちの働く権利を保障し、それぞれの人が能力を発揮し、生きがいをもって働ける社会を目指すという理念に基づく制度である。

厚生労働省は2017年の国の行政機関の障害者平均雇用率が2.49%で、昨年の法定雇用率2.3%を大半の機関が達成していると公表していた。しかし、この数値が「虚偽」である疑いが強まっている。
「働かせ方改悪」を「働き方改革」と呼び、「自分や妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と明言しながら、関与が明白になっても総理や議員の座にしがみつく。公文書を300カ所以上も改ざんする。ペテンのオンパレードである。

障害者の雇用について、従業員100人以上の企業は雇用率2.2%が法律の基づくガイドラインで定められており、この雇用率に達しない場合、不足1人当たり月5万円の納付金を徴収される。その算定が正しく行われているか、定期的な訪問検査も行われている。ところが、こうしたチェック体制は公的機関に対しては確立されていない。
国や自治体の行政機関の障害者の法定雇用率に関連して、厚労省所管の独立行政法人で、障害者を多く雇用しているように装う虚偽報告が2014年に発覚した。
厚労省はこれを受けて独立行政法人に対する検査を進めてきたが、国や自治体自体については検査対象としていない。

国や自治体の行政機関の障害者法定雇用率は、本年4月から2.5%に引き上げられ、表向きは公的部門が障害者の雇用に積極的であるように装っているが、検査もなく、数値が「水増し」されているのなら、何の意味もない。障害者に対する完全な裏切り行為である。

中央省庁における障害者雇用者数を水増しは、すでに判明している分だけでも2017年分だけで数千人規模に上っている。「水増し」を除去した、真実の雇用率が0%台になる官庁が複数あることも判明している。
「水増し」が行われていなければ、国や自治体は障害者の雇用を大幅に増やしていなければならなかったことになり、障害者の雇用機会が奪われたことになる。この問題で、野党は8月21日に国会で13府省庁担当者からヒアリングを実施した。
しかし、各省庁の担当者は「状況を精査中」との答弁を連発して詳しい説明をしなかった。

※続きは8月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「主権者に百害あって一利のないアベノミクス」で。


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