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2020年01月23日 15:00

『脊振の自然に魅せられて』「凍(い)てる小爪沢」

 私が脊振の写真を撮り始めたのが50歳の時だったので、かれこれ25年が経ちました。サラリーマン時代、自宅から30分で行ける脊振の沢をスニーカーで登って金山の山頂に着いた時、偶然、取引先のMに出会ったのがきっかけです。

 Mとは趣味の弓道仲間でもあり、その後2人で別の山に登りました。それ以降、学生時代に所属したワンダーフォーゲル部の活動拠点として慣れ親しんだ脊振の山に通うようになったのです。

 福岡市早良区の脊振の麓に椎原の集落があります。ここがバスの終点です。その1つ前、湯の野バス停から右に曲がると、脊振山系の小爪峠への登山道があります。小爪峠は福岡から佐賀へ通じる峠の1つです。

 小爪登山口から小爪峠への登山道は沢沿いの山道です。春はヤブツバキが沢に散り、その花びらが美しい渓谷を、まるで日本庭園のように彩ってくれます。私はこの沢を「椿沢」と名付け、春にはこの光景を撮影しに何度も訪れたものです。

 厳冬期には沢の飛沫が跳ねて植物や樹木の枝を凍らせ、「氷の芸術」を見ることができました。透明な輝きが神秘さを、より一層美しく表現していました。

 三脚を広げ、足を滑らせないように足場を確保して撮影します。冷えた空気がムードを高め、私を氷のなかに吸い込み、未知の世界へと導いてくれるかのようです。

「脊振讃歌II」写真集より 2010年2月7日撮影

小枝に凍りついた氷の芸術
小枝に凍りついた氷の芸術
氷の宝石
氷の宝石

 「氷の宝石」となって輝いているものもありました。マクロレンズを通して見るこれら自然がつくり出す芸術品に心のなかで思わず「きれいだ!」と叫び、その美しさにひき込まれそうになります。氷瀑(ひょうばく)を見られる場所もあり、冬場の撮影でよく訪れました。

 登山ルートの中間に1枚岩の美しい滝があります。流れる水は右端だけで、一枚岩のほとんどは水が湿っている程度です。

 撮影を終えてそこを下っていた時のことです。足を氷に滑らせ、カメラを地面に落としてしまいました。落とした瞬間「ゴツン」という軽い音。「やってしまった」カメラを拾い上げてみるとボディの端にヒビが入っていました。中古で買ったフィルムの一眼レフです。幸い、同一機種のサブカメラをもっていたため、さほど落胆はしませんでした。山の撮影では、こうした思わぬトラブルに見舞われることが多々あります。

 10年前まで、厳冬期にこうした氷の芸術を見ることができましたが、残念なことに今では、ほとんど見ることができません。脊振の山においても地球温暖化の影響が顕著にで始めています。

 人間の体が寒さに順応しなくなり、冬を暖かく快適に過ごす習慣がついてしまいました。

 私が少年期を過ごした筑豊は、冬によく雪が降っていましたが、隙間風の通る家で火鉢と掘りごたつだけで過ごしていたものです。

 桜も寒い冬に開花準備をし、「春がきた」とわかると一斉に花を咲かせます。「冬眠打破」冬景色を楽しめる山が懐かしいと思う今日このごろです。

2020年1月23日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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