2024年04月26日( 金 )

単なる野党結集ではダメな理由

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、「来年の秋までに実施される衆議院総選挙では、政権を刷新するために、基本路線を明確にして、力を結集しなければならない」と訴える7月26日付の記事を紹介する。


安倍首相は5月25日に緊急事態宣言を全国で解除し、
「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」
とコロナ終息宣言を発した。

(略)

しかし、安倍内閣のコロナ対応の緩みを背景に人々が行動を再拡大させた。
その結果として、新規感染者数の急増が観察されている。
わずか1カ月半で今回の感染減少が完全に意味を失った。
日本モデルの欠陥が全世界に鮮明に示されることになった。

(略)

感染拡大下のGoToトラブルキャンペーン始動は意図的な感染拡大措置である。
「コロナ恐るるに足らず」
の声があるが、コロナで死者が出ているのは事実だ。
コロナ感染者が後遺症に苦しんでいるのも事実だ。
特効薬はまだ存在しない。
高齢者や既往症のある人が感染すれば重篤化するリスクがある。
欧米では極めて高い致死率が観測されている。

これらの状況下でコロナ感染拡大を推進するのは正しい政策対応でない。
市民は政府の慎重な対応を求めている。
これが民意だ。

経済活動の重要性を否定するものではない。
経済活動は重要だが、感染拡大を抑止しつつ経済活動の維持を誘導すべきと考えている。
ところが、安倍内閣はコロナ感染拡大推進に舵を切っている。
このことの是非を問わねばならない。

野党は臨時国会の召集を求めるべきだ。
安倍内閣は憲法の規定に従い、臨時国会を召集する責務を負う。
当たり前のことを当たり前に実行しなければならない。

(略)

衆議院総選挙が来年の秋までに実施される。
政治刷新は選挙を通じてしか実現しない。
選挙で政治を刷新しようとする勢力が過半数の議席を確保することが必要なのだ。

その最重要の選挙がほぼ1年以内に実施される。
安倍暴政を排除するには、反対勢力が連帯=大同団結しなければならない。
この最重要の条件が整っていない。
直ちに取り組まなければならない課題だ。

この問題を解くために、気をつけなければならないことが2つある。
第1は、「大同団結」=「連帯」を目指すこと。
政権を刷新するには力の結集が必要だ。
近い者同士がいがみ合うのではなく、手を取り合わなければならない。

第2は、基本路線を明確にすること。
「小異を残して大同につく」ことが必要だが、「大異を残して小同につく」ことを避けなければならない。
根本の部分で異質な者が手を組んでも長続きしない。
仮に政権を獲得できても、たちどころに空中分解してしまう。
第1の課題と第2の課題をどちらも満たすものでなければならない。

旧民主党の再合流が論議されているが、第2の課題に懸念が残る。
基本政策はどうでもいいから、ただ単に、自公に対抗できる塊ができればよい。

この考えでは政治刷新は実現しない。
政権交代は目的ではなく手段だ。

政権交代を実現しても、新しい政権を樹立する勢力の基本政策が定まらなければ、新政権はたちどころに自己崩壊してしまうだろう。
安倍政治の基本ベクトルと対峙する基本ベクトルを政権刷新勢力が明示する必要がある。
基本政策の対立軸を明確に定めることが必要不可欠だ。
野党の結集は、この点を明確にしたうえで実現されるべきものだ。

※続きは7月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「単なる野党結集ではダメな理由」で。


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